ブレスの位置
ブレスの位置は、歌の途中で息を吸う場所のこと。
難しさ
練習すればできる
効くところ
表現
技術の中身
歌の途中で息を入れる場所のことです。息継ぎは足りなくなってから慌ててするものではなく、あらかじめ決めておく設計に近いものです。言葉の切れ目に置けば意味が通り、句の途中に置くと文がちぎれて聞こえます。同じ曲でも続く長さは人によって違うので、自分の息が持つ範囲で組み立てます。オーストラリアのクイーンズランド大学のチームが、プロの声楽家7人(女性5人・男性2人、24〜72歳)と歌の訓練を受けていない4人の呼吸を計測した研究では、どちらの群も歌う場面で息を吸う時間が平均0.7秒ほどまで縮み、曲のリズムが許す短い時間の中に息継ぎを収めていました。訓練を積んだ声楽家ほどお腹まわりの動きの比率が大きく(腹部の貢献が35%、未訓練は14%)、声の支えに近い使い方で短い吸気をこなしていたと報告されています。
やり方
歌う前に、その曲を小さな声で最後まで通し、苦しくなった手前に印を置きます。画面の歌詞は2行ずつ送られることが多く、行の変わり目が第一候補です。サビの前は直前でしっかり吸うと最後まで持ちます。間奏では吸い忘れが起きやすいので、入りの2拍前に一度入れておくと安全です。経験豊富なバリトン歌手6人を調べた米国の研究では、本人が感じている呼吸のしかたと実際の体の動きがほとんど一致しなかったとされ、印は声に出して確かめると安心です。
練習のしかた
歌う前の下ごしらえなので、家でも部屋でもできます。まず歌わずに歌詞だけを声に出して読み、吸いたくなった場所に印を付けると手早いです。次に本番と同じテンポで歌い、印どおりに吸えたか確かめます。かかるのは1曲あたり3分ほど、同じ曲を3回でだいたい固まり、以後は迷いにくくなります。位置は理屈ではなく曲ごとに覚えるものです。
やりがちなミス
足りないからと単語の真ん中で吸うと、聞き手には言い間違いのように届きます。逆に置きすぎるとぶつ切りになり、落ち着かない歌に聞こえます。マイクを口元に付けたまま吸うと吸気音が拾われるので、ブレスのノイズの扱いも合わせて見ておくと採点でも損をしません。
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【腹式呼吸】ブレスを極めれば歌が上手くなる!【ボイトレ】
曲の中では口から吸う
日常や睡眠中は鼻呼吸が良いとされ、歌う前の深呼吸も鼻でいい。ただし歌っている最中は95%ほどが口で構わないと言い切る。フレーズの合間に鼻だけで吸える歌い手はごく少数。じっくり吸える場面だけ鼻、曲中は口を混ぜるという切り分けを勧めている。
鼻で一気に吸うと喉が締まる
肺のふくらませ方は、首まわりの筋肉で上へ引く、肋骨を立体的に広げる、横隔膜が下がって下へ広がるの3通りで、実際は複合して起きる。腹式呼吸に利点があるというより、胸式が過剰だと喉が締まるという話で、鼻から一瞬で大量に吸うとその胸式に寄る。
吸う前に一度吐く
息継ぎの時間が足りない場所では、吸う前に短く吐いてから吸うと反動で入りやすい。吸うだけの場合と続けて試すと、肺が勢いよくふくらむ感覚がはっきり違う。時間が無いまま吸い込むと口からでも胸式に寄るので、喉に力が入りにくい入れ方として覚えておく。
位置がずれるとリズムがずれる
原曲の歌い手は決まったタイミングと長さでブレスしている。吸いすぎたり、吸うはずの場所で吸わなかったりすると、それだけでリズムがずれて聞こえる。リズムが苦手だという人の半分ほどはブレスで崩れている、とまで言う。
聞かせるためのブレス
わざと胸式の息を入れて乱れた呼吸そのものを表現したり、吸う音を自分の特徴にしている歌い手もいる。ただし真似ると過剰な胸式になりやすいので初心者には勧めないとする。呼吸に絶対の正解は無く、胸式寄りが歌いやすい人もいると締めくくる。
出典
- 論文・英語 Salomoni S, van den Hoorn W, Hodges P/クイーンズランド大学・PLOS ONE(2016) Breathing and Singing: Objective Characterization of Breathing Patterns in Classical Singers
- 論文・英語 Watson PJ, Hixon TJ/Journal of Speech and Hearing Research(1985) Respiratory kinematics in classical (opera) singers
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