ノビル

食べられる野草

ノビルは、掘り出して楽しい小さな球根の野草。

見分け方

土手や公園の芝地、畑の縁に生え、20〜40cmの細い葉が数本ずつ立ちます。地下にはらっきょうを小さくしたような白い球根があり、葉も球根もネギやニラそのままの強い香りがします。春先がいちばん柔らかい時期です。佐賀大学などのチームが国内47点の遺伝子を調べたところ、球根の株分けで殖やされてきた痕跡がみられ、かつてはいまよりも盛んに利用されていたと推定されています。

危険・注意

球根ごと採るため、同じように球根をもつスイセンやタマスダレと取り違える事故が起きています。タマスダレはリコリンという毒成分を含み、吐き気やけいれんを起こします。2022年には島根県で2人、埼玉県では家族4人が、混ざって生えていたタマスダレを天ぷらで食べて発症しました。ちぎってもネギのにおいがしないものは有毒だと考えてください。手にネギの汁がついていると判断を誤るので、洗った手で確かめます。

出会ったら

移植ごてで球根を傷つけないよう、周りの土ごと起こすときれいに掘り出せます。薄皮とひげ根を落として洗えば、味噌をつけて生でも、刻んで卵とじや炒め物にもできます。私有地や公園の花壇からは採らないのが大前提です。佐賀大学の研究では、生は渋みや辛みが強く、ゆで時間が長いほど渋みが減って旨みが増し、加熱時間が長い球根ほど好まれた一方、抗酸化の働きは生のほうが高かったと報告されています。

出典

  1. 論文・英語 Probowati W, Koga S, Harada K, Nagano Y, Nagano AJ, Ishimaru K, Ohshima K, Fukuda S(鹿児島大学・佐賀大学ほか、Scientific Reports)(2023) RAD-Seq analysis of wild Japanese garlic (Allium macrostemon Bunge) growing in Japan revealed that this neglected crop was previously actively utilized
  2. 論文 萱島知子・福田伸二・大島一里(佐賀大学すくすく野蒜研究所、日本調理科学会誌)(2022) 山野草ノビルの嗜好特性とDPPHラジカル消去活性
  3. 公的機関 島根県(2022) 有毒植物による食中毒に注意しましょう!!
  4. 公的機関 東京都保健医療局 タマスダレ|食品衛生の窓
  5. 資料 埼玉新聞(2022) 食中毒の家族4人、「ノビル」そっくりの有毒植物「タマスダレ」食べる…交ざって自生 天ぷらにして嘔吐

解説動画: 川辺でノビルを掘って、球根を酢味噌のおひたしにする/おさかな大将の釣りと料理とアウトドア TV

概要: 釣りに出かけたものの魚がまったくいないので、川辺に生えていたノビルを採って持ち帰り、おひたしにする回である。細長い葉の下に白い球根がつき、球根がいちばんおいしいので球根ごと掘っていく。試しに川の水で洗ってみると立派な球根が出てきて、そこから本腰を入れて採り始めている。この日は全部で三、四十個ほどが集まり、多すぎるので半分だけをおひたしに使っている。

球根を切らずに掘る: 根が思いのほか深くまで伸びていて、そのまま引き抜くと球根が途中で切れてしまう。手で慎重に掘っても小ぶりなものになりがちで、スコップを持っていって、ある程度掘り起こしてから抜くのがよかったと振り返っている。うまく掘れたものは親指と比べてもかなり大きく、育った場所によって差が出る。

洗って薄皮を取る: 持ち帰ったら泥を落として洗い、白い球根と根元の部分を使う。薄皮は神経質に全部むく必要はなく、目立つものだけ取れば十分である。葉も食べられるので、味の比較用に少しだけ一緒に使っている。生でかじると玉ねぎのようにかなり辛いため、そのままではなく茹でて辛味を抑える方針にしている。

茹で加減と酢味噌: 塩を少し入れた湯で二分ほど茹でると辛味が落ち着く。合わせるのは酢味噌で、味噌と砂糖をおよそ二対一で混ぜている。球根はもちもちした噛み応えで、ミニ玉ねぎのような味わい。葉は歯応えがよくほんのり甘く、ポン酢と鰹節でもよく合う。食べたあとでさっと湯通しする程度のほうが本来の味が出たかもしれないと振り返っている。

スイセンとの取り違えに気をつける: 採った場所の少し離れたところにはスイセンも生えていて、抜くときに他の葉が混ざらないか慎重に見ながら洗い、切り分けたという。大きく育てばスイセンのほうが葉が大きいので分かるが、小さいうちの見分けは怖いとし、決め手はネギの匂いで、ノビルは匂うのにスイセンは匂わないと説明している。野草や山菜は難しいので確かめながら食べたい、と締めている。