トレッキングシューズ

ウェア・小物

トレッキングシューズは、足元を変えて疲れ方を変える靴。

どんな道具?

くるぶしを覆う高さのある、屋外の山道を歩くための靴です。防水の表地と深い溝のソールが、濡れた草地や木の根の上でも足が滑りにくくなります。ヤマレコ社長の解説動画は、運動靴ではソールが柔らかく、尖った石の感覚が足裏に響いて、濡れた岩や木道で滑りやすいと話しています。硬めのソールは石を踏んだ痛みも和らげます。TAKEMOVIE(タケムービー)の解説動画も、荷物が多いほど足元はぐらつきやすいと説明しています。ただ、足首を支える分、足首の動きは小さくなり、ひざの負担が増える傾向が、少人数の実験で報告されています。

選び方

ハイカットは足首を支えて重い荷物に向き、ローカットは軽くて歩きやすいという違いがあります。ヤマレコ社長の解説動画は、初めての1足には、軽さと足首の支えのバランスがよいミドルカットを勧めています。試着は登山で履く厚手の靴下で行い、つま先に約1cmの余裕がある大きさを選びます。下りでつま先が当たると爪を傷めやすいので、きつすぎないほうが安心です。英語の解説動画(BackpackingTV・Mowser)は、防水の膜入りの靴は水を通しにくい代わりに蒸れやすいと話し、暑い時期や乾いた土地では通気性のよい靴を勧めています。

使い方のコツ

靴ひもは前から締めて、かかとを靴の奥に入れてから結ぶと、足がぐらつきにくくなります。上りは一番上のフックより1つ下で止め、下りは一番上まで締めます。TAKEMOVIE(タケムービー)は、上まで締めると足首が動きにくく登りにくいが、下りは締めないとつま先が当たると話しています。登山用の厚手の靴下を一重で履くのが無難です。109人の短いハイキングを調べた研究では、登山用の靴下を履いた人のほうが、足に皮膚や爪のけががない人の割合が高かったと報告されています。Mowserは、革の登山靴は家の中や近所の散歩で慣らしてから山へ出すと、靴ずれを防ぎやすいと説明しています。

手入れ・注意

泥や小石を落とし、中敷きを外して風通しのよい日陰で乾かすのが基本です。Mowserは、直射日光を避けて乾かすよう勧めています。ヤマレコ社長の解説動画は、乾いたら防水スプレーや専用クリームで手入れすることを勧めています。履かずに置いた靴も加水分解でソールが剥がれることがあるので、ときどき点検し、リソールできる靴は修理に出すと安心です。買い替えの目安は3〜5年とよく言われますが、使い方・頻度・手入れで変わります。同じ動画は、重いハイカットの削れや縫い目のほつれ、軽いミドルカットの生地の破れや浸水も挙げています。

出典

  1. 論文・英語 Haghighat F, Rezaie M, Majlesi M(2024) How boots affect the kinematics and kinetics of lower limb joints during walking compared to casual footwear
  2. 論文・英語 Kersting UG, Støttrup N, Larsen FG(2021) The influence of shaft stiffness on joint kinematics and kinetics during hiking
  3. 論文・英語 Pérez Pico AM ほか(2019) Importance of Sock Type in the Development of Foot Lesions on Low-Difficulty, Short Hikes
  4. 動画・英語 Mowser THE Ultimate Guide to Hiking Footwear
  5. 動画・英語 BackpackingTV The First Mistake New Hikers Make: Choosing Footwear 101
  6. 動画 ヤマレコ社長の絶対遭難させないチャンネル 【その靴で本当に大丈夫?】運動靴と登山靴の違い、後悔しない靴選びの基準を解説!
  7. 動画 TAKEMOVIE(タケムービー) 【基本】元アウトドアショップ店員が解説_登山靴の選び方/履き方

解説動画: 登山靴の種類ごとの性格と、靴紐の締め方/登山教室 Kuri Adventures

靴が肩代わりしてくれる筋力: 足の指を動かしているのはすねの筋肉、足首を支えているのはふくらはぎの筋肉。そのためシャンクの入った硬いソールの靴は、段差で足の指が反るのを防いで足裏の負担を減らす。足首がしっかりホールドされる靴なら、斜面や段差で足首を固定するための筋力を使わずに済み、重い荷物を背負ったときのふくらはぎへの負荷が小さくなる。つまり靴の剛性が高いほど、足の筋力への負担は軽くなる。

ハイカットと捻挫は別の話: 一方で足首を固めるほど、バランスを取る体の動きには制限が出る。さらにハイカットであること自体は捻挫の予防にはならないと明言している。むしろソールが硬い靴は厚くならざるを得ず、足の位置が地面から高くなるほど足首は曲がりやすく、捻挫のリスクは上がる。厚いソールは接地面積も小さくなり、濡れた岩やぬかるんだ地面で滑りそうな感触を足裏でつかみにくくなる欠点もある。

タイプごとの得意分野: 力を込めても曲がらないアルパインブーツは、アイゼンが外れにくく、小さな足場に長く立ってもふくらはぎが疲れにくい。ソールがやや硬めのアルパイン寄りのブーツは、岩場や滑りやすい場所、重い荷物での縦走、筋力に不安がある人に向く。日本で最も使われているのはトレッキングブーツで、防水フィルム入りのハイカットなら草の露や水たまりでも中に水が入りにくく、柔らかくオールマイティに使えるとしている。

軽い靴と薄い靴の代償: トレイルランニングシューズやアプローチシューズはローカットで非常に軽く足首の自由度も高いが、そのぶん足の筋力への負担は大きくなる。アプローチシューズは岩の上で効く高フリクションのソール、トレランシューズは土の上で滑りにくい大きなブロックと、目的そのものが違う。地下足袋のような薄い靴はソールが地形に沿って曲がるので接地面積が大きく、わずかな滑りまで足裏で感じ取れる。ただし靴が筋力を補助しないので疲れやすく故障の原因にもなるため、これから始める人にはまずトレッキングブーツを勧めている。

サイズ合わせと紐の締め方: 店ではインソールに足を合わせ、つま先に5mmから1cmの余りがある程度を選ぶ。ぎりぎりだと下りでつま先を痛め、余りすぎるとソールの曲がる位置がずれて足裏に大きな負担がかかる。履くときはかかとを合わせてから、甲の部分はうっ血しない程度に軽く、足首の立ち上がりは強めに締める。フックには上から下へ引っ掛けると、つま先側の紐が上の紐に押さえられて緩みにくい。最後は紐を2周巻き、左右が同じ方向に出るようにもう一周通して結ぶとほどけにくくなる。