焚き火ウェア
ウェア・小物
焚き火ウェアは、火の粉から服と肌を守る一枚。
どんな道具?
燃え広がりにくい生地で作られた上着やエプロンです。火の粉が飛んでも穴が開きにくく、焚き火のそばで気を張らずに過ごせます。化学繊維の服は火の粉で簡単に溶けて穴が開き、溶けた繊維が肌に貼り付くこともあります。国の製品安全機関NITEによると、裾や袖がだぶついた服やふわふわした素材の服は、炎や熱源に近づくと火が燃え移りやすいといいます。2017〜2021年の5年間で、衣服への「着衣着火」による死者は492人、年に約100人にのぼり、焚き火のそばで過ごす時間が長いキャンプほど他人事ではありません。
選び方
綿は扱いやすく価格も手ごろ、アラミド繊維は薄く軽いのに火に強いという違いがあります。袖口が締まる形か、ポケットが座ったままでも使える位置にあるかを見ておくと実際の作業が楽です。座って過ごすことが多いなら丈は長めが安心です。インドの病院で熱傷により入院した患者224人を調べた観察研究では、受傷時に合成繊維の服を着ていた割合が50.89%で、綿の服だった20.53%より高かったと報告されています。火元に近い焚き火ウェアを選ぶときも、化学繊維より燃えにくい生地を選ぶ理由としてうなずける数字です。
使い方のコツ
焚き火の風下に立たず、薪をくべるときは体を斜めに構えるだけで火の粉を浴びる量が減ります。難燃は不燃ではありません。炎に直接触れれば焦げますし、着ているからと火に近づきすぎないことが前提の装備です。英国陸軍の医学誌に載ったレビューでは、重ね着した戦闘服は短時間の炎に有効な防護になる一方、薄手の服1枚ではほとんど守れず、顔や手など覆われていない部分が最も傷つきやすいとまとめています。焚き火に薪をくべて火の粉が増えるときほど、顔を背けつつ手袋もあわせて使うと安心です。
手入れ・注意
柔軟剤や漂白剤は火に強い性質を弱めることがあるので、洗濯表示に従ってください。すすは乾いた状態で払ってから洗い、形を整えて陰干しすると生地が傷みません。焦げ穴が広がってきたら、買い替えを考える合図です。タイの大学の研究チームが難燃加工した生地を試した実験では、未処理品に比べ限界酸素指数が21.1%から31.7%まで上がり自己消火性も最高等級になりましたが、50回洗濯を繰り返すと自己消火はしても等級はV-2まで下がったと報告されています。長く着るウェアほど、定期的な買い替えが防炎の効果を保つ鍵になります。
出典
- 公的機関 製品評価技術基盤機構(NITE)(2022) “だるだる”“もふもふ”衣服は着火の元! ~毎年100人前後が死亡している「着衣着火」の注意点~
- 論文・英語 Muguregowda HT(2019) An Observational Study on Clothing Characteristics Involved as Major Contributors in Sustaining Domestic Burns Injuries
- 論文・英語 McLean AD(2001) Burns and Military Clothing
- 論文・英語 Inprasit T, Niyomdacha D, Promchantuek C, Thangtong T, Vanichvattanadecha C, Pisitsak P(2026) Sustainable Intumescent Flame-Retardant Coating with Sericin, Phosphorus, and Silicon for Polyester Fabrics
解説動画: 焚き火の火の粉に強い難燃ウェアと難燃ギア/CAMP HACK
概要: 焚き火の火の粉をものともしない難燃素材のキャンプアイテムを集めて紹介する回。テントやタープ、チェアから着る物まで、焚き火のそばで使う道具を難燃でそろえると火の粉を気にせず焚き火に近づけるようになる、という趣旨で秋冬の焚き火シーズンに向けた装備を見せていく。
難燃ジャケット: 上に羽織るのは難燃素材のジャケット。ポケットが多いのが特徴で、ライターなどの小物がちょうど収まる位置にもポケットがあり、焚き火まわりで使う細かい道具を分けて持ち歩ける。火の粉が飛んでも穴が開きにくいので、焚き火に近づく前提の上着として紹介している。
難燃パンツ: 下はグリップスワニーの難燃パンツ。ポケットが多くひとつひとつが大きいうえ、生地が伸びるのでしゃがんだり薪を扱ったりする動作がしやすい。細身のジョグパンツ型でシルエットがきれいに見える点も気に入っていると話しており、火に強いだけでなく普段着として着られる見た目であることを推している。
服以外の難燃ギア: 着る物のほかに、焚き火の近くに張れるTC素材のタープ、スカートとインナー付きのテント、火の粉が飛ぶと怖いチェア、そして寝袋まわりの難燃アイテムも合わせて紹介する。ここまでそろえると焚き火をかなり近い距離で楽しめるといい、収納袋まで難燃素材になっているものがあると触れている。