レインウェア
ウェア・小物
レインウェアは、雨の日を耐えられる日に変える一着。
どんな道具?
雨から体を守る上下の防水着です。濡れないだけで、雨天の体温低下を防ぎやすくなります。山では天気が急に崩れることがあるため、NPSも予備の衣類の1つとして雨具(レインシェル)を挙げ、急な天候の変化に備えるよう勧めています。山と溪谷ch.の動画では、モンベルの店員が、濡れて冷えると低体温症で行動できなくなることもあると話しています。濡れた衣服は熱を奪い、救急現場を想定して寒い環境で行ったマネキン実験では、濡れた服を除くか蒸気バリアを足すと全体の熱損失が19〜42%減りました。
選び方
防水透湿素材は、外の雨を通さず、汗の蒸気だけを外へ逃がす作りです。ただ蒸れは残りやすく、Backcountry Banter(英語圏の登山系チャンネル)は、透湿性は期待どおりに働きにくいと話しています。モンベルの店員は、薄手のフリースやダウンを中に羽織れる作りなので、大きすぎるサイズは要らないと言います(山と溪谷ch.)。店を営む吉野さん(山旅旅)は、ゴアテックスは長く防水性を保ちやすい一方、表示の数値だけでは他社と比べにくいと話しています。薄い生地のものは軽いけれど、保温と防風が弱いので、寒い時期や2〜3泊の山行には生地のしっかりした雨具を選びます。
使い方のコツ
降り出す前に着ると、濡れて冷えるのを防ぎやすくなります。袖口と裾を絞り、フードは顔に合わせて調整すると、雨が中に入りにくくなります(山と溪谷ch.)。脇のファスナーは開けて、蒸れを逃がします(Justin Outdoors)。雨具のズボンは蒸れて濡れやすいため、レインスカートで済ませる人もいます(Backcountry Banter)。寒い日や雨が長く続く日は、厚手の雨具に替えて使い分けています(Backcountry Banter)。汗で濡れた内側の服は、休むときに替えると熱を奪われにくくなります。
手入れ・注意
泥や汗、皮脂は撥水を弱める汚れなので、早めに落とすのが大事です。洗うときは液体の洗剤を使い、柔軟剤と漂白剤は避けます。アークテリクスの公式の案内も、まず汚れを落としてから洗い、低温の乾燥機で熱を加えると撥水の効きがよくなると書いています。Outdoor Research(メーカーの公式)も、40℃前後の温水で洗い、乾燥機の熱で撥水が戻ると説明しています。どちらもメーカーの案内で、売る側の利害がある点は割り引いて読みます。水をはじかなくなったら、撥水剤の塗り直しを検討します。
出典
- 公的機関・英語 米国国立公園局(NPS) The Ten Essentials(Extra Clothing)
- 論文・英語 Henriksson O ら(2012) Protection against cold in prehospital care: evaporative heat loss reduction by wet clothing removal or the addition of a vapor barrier—a thermal manikin study
- 論文・英語 Richards MG ら(2008) Dry and wet heat transfer through clothing dependent on the clothing properties under cold conditions
- 資料・英語 Arc'teryx(メーカーの公式・利害あり) Protect GORE-TEX(製品の手入れ)
- 資料・英語 Outdoor Research(メーカーの公式・利害あり) How to Wash GORE-TEX
- 動画 山と溪谷ch.(モンベル品川店の店員が出演) 【登山用具】モンベルさんに聞く!登山用レインウェアの選び方
- 動画 山旅旅(店を営む吉野時男さんが出演) 【前編】レインジャケットを選ぶ際に考慮すべき点について吉野時男さんに色々聞いてみた!
- 動画・英語 Justin Outdoors Gear Loadout for 3-Days BACKPACKING IN RAIN // West Coast Trail
- 動画・英語 Backcountry Banter How To Layer Your Backpacking Rain Gear (Like A Thru Hiker)
解説動画: レインウェアの役割と選び方、ウインドシェルとの違い/Runtrip Channel
概要: トレイルランを想定して、店のスタッフにレインウェアの機能と選び方を聞いていく回。山は平地に比べて天候が変わりやすく、濡れたまま行動すると体が冷えて危険になる。雨具は快適さのためではなく体を守るための装備という位置づけで、行く場所と使い方を思い浮かべながら価格と機能を照らして選ぶよう勧める。
ウインドシェルとの違い: 同じシャカシャカした上着でも、ウインドシェルは風から身を守るための布で、撥水加工はあっても長時間降られれば中まで濡れてしまう。レインウェアは撥水加工した表地に、水を通さず湿気は逃がすメンブレンを合わせた構造。裏地まで付いた3層構造と、軽さのために裏地を省いた2.5層がある。透湿性が高いほど汗が外に抜け、長時間快適に着ていられる
着るタイミング: 雨が降ったら必ず着るものではなく、濡れて体が冷えそうなときに着るのが基本とされる。暑い時期に降り出してすぐ着ると内側が蒸れ、結局は自分の汗で濡れてしまう。体が冷えないなら多少濡れても問題はない。ただし濡れたまま高いところへ上がり、風に当たって冷えそうなら早めに着ておく。雨がなくても風を防いで体を温める目的で羽織るのもよい。
用途で変わる厚さと機能: 登山用は重い荷物や岩場を想定して生地が厚く、ポケットや脇のベンチレーションなど機能も充実するが、そのぶんかさばって小さくならない。走ることが前提のモデルは生地が薄くポケットも省かれ、軽いものでは100gほどまで落ちる。低山で携行品として持つなら薄いもの、標高が高く気温が低い山では厚めでしっかりした作りのものと、行き先で選び分ける。
洗って撥水を戻す: 表地が汚れていると撥水しなくなり、生地が水を吸って中まで濡れやすくなる。ネットに入れ、柔軟剤は使わず中性洗剤で洗うのが手入れの基本。撥水が落ちたら防水スプレーや専用の洗剤を使い、低温のアイロンや乾燥機で熱を加えると撥水性が戻る。洗うと傷むと思って避けられがちだが、洗わないほうが性能は落ちると強調している。