算木積
石垣の積み方と隅
時代: 江戸
隅だけは、長い石と短い石を交互に重ねます。長辺と短辺が段ごとに入れ替わって左右の壁へ食い込み、石垣全体の保ちを隅の一列が引き受けます。
何のためのものか
石垣の出隅で、長方体の石の長辺と短辺を段ごとに交互へ向けて重ねる積み方です。隅は二つの壁がぶつかる線にあたるため、長い石が左右へ交互に食い込むと、隅がほどけにくくなります。名は算木という細長い算術の道具に由来します。熊本県熊本市の熊本城跡、愛媛県松山市の松山城、福島県会津若松市の若松城跡の出隅に、そろった長短の重なりが見られます。
見分けの決め手
隅の一列だけを下から順に、長い面と短い面で数えます。整った算木積では長辺と短辺が一段ごとに入れ替わり、長い石の長さもおおむねそろいます。上へ向かうほど石が小さくなっても、長短の交代そのものは崩れません。角の石の間に角脇石と呼ぶ細長い石が添えられることもあります。隅の反りの見え方で年代を決めないこと。反りは普請の考え方や修理でも変わるため、長短の重なり方を先に数えます。
いつ頃のものか
慶長10年(1605年)前後から城の石垣にそろった形が現れるとされ、隅石のそろい方は年代の目安として使われてきました。この見方を整理したのは北垣聰一郎の石垣普請の研究で、紙の書籍にしか根拠がなく、原典を手に取らないと細部までは確かめられません。未発達な隅から整った隅への移り変わりは各自治体の石垣調査報告でも扱われますが、城ごとに幅があります。
取り違えやすい相手
隅石を交互に並べただけの、整い切らない隅が相手です。長い石の長さがそろっているかを見ます。未発達な隅では長さがまちまちで、長辺が二段続くところや、短い石ばかりが重なるところが現れます。野面積の古い壁の隅に多く残る姿です。交互になっていても長さが不ぞろいなら、算木積の手前の段階として扱われ、一つの城でも隅ごとに段階が違います。
どこに立つと見えるか
隅の正面ではなく、二つの壁の中間にあたる斜め前へ回ります。真横からでは片方の壁しか見えず、長辺と短辺の交代が読めません。愛媛県松山市の松山城は登城道から複数の隅を続けて見上げられるので、隅ごとの違いを比べられます。下から見上げる角度では長辺が短く見えるため、可能なら同じ高さに近い場所からも眺めます。石垣の傷みや安全の見立てはしないこと。気づいたことがあれば管理する施設へ伝えます。