切込接
石垣の積み方と隅
時代: 江戸
石を方形に整えて、面と面で密着させます。目地は糸のように細く通り、詰め石をほとんど使わないため、遠目には壁が一枚の面に見えます。
何のためのものか
石を方形に切り整え、面どうしを密着させて積む方法です。すき間が消えて壁の見えが整うため、門や虎口まわりのように人目に触れる場所で選ばれました。加工はまず隅石から始まり、のちに平石へ広がっていきます。東京都千代田区の江戸城跡、石川県金沢市の金沢城跡、和歌山県和歌山市の和歌山城では、一つの城内に野面積から切込接までが並ぶので、その順序を一続きで追えます。
見分けの決め手
目地の太さと、間詰石の有無を合わせて見ます。切込接では目地が糸のように細く通り、小石を詰める必要がありません。石の四辺が直線で、角が直角に近く立っているのも手掛かりです。目地の線が縦と横へ抜けるため、壁は石の集まりではなく一つの面としてまとまって見えます。表面だけを整えた積み直しもあるため、隅石と平石の加工が揃っているかを確かめます。
いつ頃のものか
慶長5年(1600年)以降にまず隅石の加工として現れ、元和期(1615年から1624年)以降に平石まで広がったとされます。年代の根拠は各自治体の石垣調査報告で、天下普請で積まれた壁ほど加工が進みます。加工の程度だけで年代を決めると、後の積み直しに引かれます。石の切り口と、記録に残る普請の年を突き合わせるのが、報告書のとっている手順です。
取り違えやすい相手
明治以降の谷積、落積とも呼ぶ積み直しが相手です。石を斜めに立てているかどうかで分かれます。谷積は方形の石を角が上下になるよう傾けて並べるので、目地が斜めの網目になります。切込接は石を平らに寝かせるため、目地は縦と横に走ります。斜めの目地が現れたら近代以降に手が入った部分と見て、指定説明や現地の掲示で修理の履歴を確かめます。
どこに立つと見えるか
枡形の内側に立ち、正面の壁を目の高さで横に追います。枡形虎口の壁は見せる面として丁寧に積まれることが多く、加工の差が出やすい場所です。城の奥ほど加工が進む例もあるので、外周の壁と本丸まわりを続けて見比べます。東京都千代田区の江戸城跡では、同じ枡形の中で隅と平石の仕上げが分かれる様子が正面から見渡せます。柵や芝生の内側には入らず、順路から見える範囲で確かめます。