乱積
石垣の積み方と隅
時代: 安土桃山
石の大きさも向きもそろえず、目地を折り曲げて積みます。段をつくらない代わりに石の形へ合わせて隣を選ぶので、目地は縦横に折れながら壁を走ります。
何のためのものか
大きさも形も違う石を、向きを変えながら組み合わせる積み方です。段をそろえない代わりに手元の石をそのまま使えるので、石を切り出す手間と運ぶ距離を抑えられます。乱層積という別称もあります。兵庫県朝来市の竹田城跡、岐阜県恵那市の岩村城跡、大分県竹田市の岡城跡では、目地が縦横に折れながら曲輪を囲う壁が地形の起伏に沿って続きます。
見分けの決め手
一つの石から出た目地が、どこで折れるかを目で追います。乱積では横の線が数石で止まり、上下に食い違って続きます。石の長い辺が縦を向いたり横を向いたりと、向きが定まらないのも手掛かりです。大きな石のまわりを小さな石が囲む並びになり、壁の面が細かく分かれて見えます。石が乱れて見えることと、傷んでいることは別で、積み方の名は当初の組み方を指します。傷みの見立ては現地の掲示と管理者の調査に任せます。
いつ頃のものか
安土桃山時代以降の城の石垣に広く見られます。兵庫県朝来市の竹田城跡は天正から慶長のはじめにかけて石垣が積まれたと調査報告に整理され、岐阜県恵那市の岩村城跡でも時期の違う壁が重なります。奈良文化財研究所 全国遺跡報告総覧に載る発掘報告と、城ごとの築造の年を照らすのが手順で、古びて見える壁が古いとは限らず、積み直された部分も混じります。
取り違えやすい相手
布積と、明治以降の谷積が相手です。石を寝かせているか、斜めに立てているかを見ます。布積は横目地が端まで通るので、線を追えば分かれます。谷積は石を角が上下になるよう傾けて並べ、目地が斜めの網目になります。乱積は石を平らに寝かせたまま向きだけを変えるため、目地は折れても斜めにはそろいません。まず目地を一本選び、端まで追います。
どこに立つと見えるか
壁から距離をとり、日が斜めに差す時間に横から見ます。正面からの強い光では目地が消え、折れ方が読めません。大分県竹田市の岡城跡は台地の縁に沿って壁が長く続くので、園路を歩きながら同じ壁の変化を追えます。曲輪の角を曲がるたびに石の大きさと目地の折れ方が変わるので、同じ距離を保って歩くと差が出ます。崩落を防ぐ養生や工事の区画が設けられていることがあり、掲示された順路の内側から見ます。