布積

石垣の積み方と隅

時代: 江戸

横の目地が、壁を一直線に横切ります。石の高さを段ごとにそろえて水平に並べる積み方で、石をどこまで加工したかとは別の軸として見ます。

何のためのものか

石の高さを段ごとにそろえ、横目地が通るように並べる積み方です。加工の程度を指す野面積・打込接・切込接に対して、布積が指すのは石の並べ方なので、二つの軸は重ねて使えます。整層積という別称もあり、報告書では両方が使われます。石川県金沢市の金沢城跡、大阪府大阪市の大坂城跡、福岡県福岡市の福岡城跡に、並べ方の違う壁がまとまって残ります。

見分けの決め手

壁から数歩離れ、横の線が端まで続くかを目で追います。布積では同じ段の石の高さがそろい、目地が水平の帯となって左右へ抜けます。段ごとに石の高さが変わっても、横線が切れずに通っていれば布積です。横線が途中で途切れ、縦の目地が食い違って続くところは布目崩しと呼ばれ、乱積との中間として扱われます。草や苔で目地が隠れる季節は乾いた面で見ます。

いつ頃のものか

石を段にそろえるには加工が要るため、加工の進んだ江戸時代の石垣に多く見られます。大阪府大阪市の大坂城跡は元和6年(1620年)に始まる徳川の再築で、切込接の壁に横目地が長く通ります。石川県金沢市の金沢城跡には時期の違う壁が並び、各自治体の石垣調査報告がそれぞれの普請の年を示します。並べ方だけでは年代は決まらず、加工の程度と記録を合わせて読みます。

取り違えやすい相手

乱積が相手です。目地が水平に続くか、縦横に折れるかを見ます。乱積は大きさの違う石を向きを変えて組むため、横線が数石で途切れて上下へ折れます。布積の段の切れ目は壁の端まで抜けます。下半分が布積、上半分が乱積という壁もあり、境の線を先に見つけます。近代の積み直しでは目地が斜めに並ぶので、そこは布積とも乱積とも別に扱います。

どこに立つと見えるか

壁の正面から離れて、横目地の高さに目線を合わせます。近づくほど石一つの表情に目が行き、段の通りが見えなくなります。石川県金沢市の金沢城跡は複数の時期の壁が並ぶ城で、同じ視点から並べ方の違いを比べられます。福岡県福岡市の福岡城跡でも、堀端の園路から壁の全体を横に見渡せます。堀の水際は柵の外なので、順路の内側で角度を変えます。