ウグイスの笹鳴き
地鳴きと警戒の声
冬のウグイスは、藪の中で「チャッ」と鳴きます。姿は見えないまま舌打ちのような音だけが届く声で、笹やぶで聞くことから笹鳴きと呼ばれ、俳句では冬の季語になっています。
聞きなし
「チャッ、チャッ」と、一音ずつ短く切れる音です。日本野鳥の会の解説も地鳴きをこの字で書いており、舌打ちや小石を打ち合わせたような硬さが耳に残ります。伸ばす音がなく、数秒おきに一声か二声で、続けざまに並ぶことはまれです。笹やぶの中を移りながら聞こえるため、声の出どころが少しずつ動くかどうかも手がかりになります。ウグイスのホーホケキョのような高低の起伏はありません。
さえずりか地鳴きか
この声は地鳴きの側に入ります。さえずりが繁殖期の雄だけの、縄張りを示す長い声であるのに対し、地鳴きは雌雄どちらも、季節を問わず出す短い声です。笹鳴きはその地鳴きのうち、秋から冬に笹やぶで聞くものを指す古い呼び名で、俳句では冬の季語として扱われてきました。春の声を覚えていても冬の声は覚え直すことになり、同じ鳥の、役割の違う二つの発声として並べておきます。
いつ・どこから聞こえるか
おおむね10月から翌年3月ごろ、目の高さより低い藪の中から聞こえます。ウグイスは季節で高さを変える漂鳥で、繁殖期に山へ上がった個体が冬は平地へ下りてくるため、林のふちとやぶや河川敷の草むら、住宅地の生垣でも耳に入ります。声は一点にとどまらず藪の内側を横へ移っていくので、立ち止まって数十秒待つと方向がつかめます。
似た声との違い
近い音を出すのはアオジとミソサザイです。アオジの地鳴きは「チッ」と細く、一音ずつ間が空いて、ウグイスより軽く湿った音に聞こえます。ミソサザイは「チャッチャッ」を短い間隔で続けて出すことが多く、沢沿いの岩場に多い点も違います。ジョウビタキの「ヒッ、ヒッ」に混じる「カッカッ」は硬さが似ますが、開けた場所の目立つ枝先から聞こえるのが分かれ目です。
この声で何をしているか
居場所を知らせ、近づく相手を牽制する声と考えられています。冬のウグイスは藪ごとに散らばって単独で過ごすことが多く、この声が同種どうしの距離を保つはたらきをします。人や猫が藪に寄ると間隔が詰まって連発に変わることがあり、そのまま藪を揺らせば追い立てて飛ばせるの側へ踏み込みます。一声ずつの細かい役割までは分かっていないので、不快の度合いが上がったところまでを読み取るにとどめます。