シジュウカラのジャージャー
地鳴きと警戒の声
「ジャージャー」は、ヘビに向けた声です。鈴木俊貴の野外実験で、この声を聞いた個体が細長い動くものを探すように振る舞うことが示されています。
聞きなし
「ジャージャー」と濁って伸びる声で、シジュウカラの澄んだ「ツピー」とは音の質から違います。一声は一秒に満たない長さで、間を置きながら何度も繰り返され、近くの個体が加わって重なって聞こえます。木のまわりを飛び回りながら出すため、声の位置が一か所にとどまりません。文字にすると「ジャージャー」「ジャジャジャ」と揺れますが、濁りと引き伸ばしがそろえば同じ声として扱えます。
さえずりか地鳴きか
警戒のときに出る、地鳴きの一種です。シジュウカラのツツピーが繁殖期の雄が高い枝から出す縄張りの声であるのに対し、こちらは雄も雌も、繁殖期に限らず、危険を見つけたときに出します。同じ警戒でも相手によって形が変わり、上空の捕食者には「ヒヒヒ」と細く高い声を使うことが報告されています。声の質から相手の見当がつくところが、この鳥の聞きどころです。
いつ・どこから聞こえるか
巣にヒナがいる4月から7月ごろに多く、住宅地の路地と庭先や公園の木立で耳にします。ヘビが幹を登る高さ、つまり人の目の高さから下で起きていることが多く、声のした木の幹をゆっくり目でたどると様子が分かります。ただし巣が近い合図でもあるので、幹に寄って探せば巣に近寄るにあたります。声が続くうちは離れる側にまわります。
似た声との違い
同じ濁りでも、「ジュクジュク」とムクドリの声は別物です。日本野鳥の会は「ジュクジュク」を本種に独特な声として挙げており、短い粒を刻んで続ける点が、一声を伸ばす「ジャージャー」と違います。ムクドリの「ギャーギャー」は体が一回り大きいぶん太く低めで、電線や屋根の上など開けた高い所から降ってきます。高さと太さの二つで分けます。
この声で何をしているか
ヘビを見つけた個体が、相手の種類まで周囲に伝えていると考えられています。鈴木俊貴の野外実験では、この声を聞かせている間に木の棒をヘビのように動かすと鳥が棒へ近づき、別の声のときや、棒の動きがヘビらしくないときには近づきませんでした(鈴木 2018)。言えるのは声が特定の相手の探索を引き起こすところまでで、人の言葉と同じ仕組みだと決めるには足りません。観察の場で同じことを試すのは声を流して呼ぶにあたります。