天然由来なら肌に優しい

成分・製品への誤解

天然由来だからといって肌に合うとは限りません

よく言われること

植物エキスや精油、天然成分と表示された化粧品は、合成成分よりも肌に優しく刺激が少ないというイメージで語られることがよくあります。「ケミカル」という言葉と対比させて、天然由来であることを安全性の根拠のように扱う説明も見られます。

実際はどうか

天然由来かどうかは、その成分の由来を示す分類であり、肌への刺激の起こりやすさやアレルギーのリスクとは別の話です。植物由来の成分の中にも接触皮膚炎や光毒性を起こすことが知られているものがあり、精油やハーブ由来の成分で肌荒れが報告される例もあります。逆に、合成された成分の中には長年の使用実績や安全性試験を経て、刺激が少ないとされているものも数多くあります。使用した部分に赤みやかゆみが続く場合は、天然由来かどうかにかかわらず皮膚科を受診することが勧められます。

なぜ広まったか

「天然」「自然」という言葉には、人工的なものより体に負担が少なそうだという素朴なイメージが結びつきやすく、環境や健康への意識の高まりとともに、それが安全性の根拠のように受け止められてきた面があります。企業の広告でも天然由来を前面に出す表現が使われやすく、そのイメージがさらに広がってきました。

どう言えば正しいか

ある成分が肌に合うかどうかは、天然由来か合成かという分類ではなく、その成分自体の性質や配合されている濃度、使う人の肌の状態によって決まります。天然由来という表示は安全性を保証するものではなく、成分表示を見て自分の肌に合うかどうかを個別に確かめる必要がある、という言い方が実情に近いです。

解説動画: 【小麦アレルギー被害2千人超】旧「茶のしずく」事件の真相と本当に避けるべき食品成分スキンケアについて化粧品のプロが解説!/かずのすけ

食べられることと、肌に塗って安全なことは別の話: レモンのように食用として問題のない食品でも、そのまま肌につけると刺激になることがあります。体内に入った物質は胃酸などによってある程度分解され、毒性がやわらぐしくみがありますが、皮膚にはそうした分解のしくみがないため、食べても平気な天然由来の成分が、肌の上では刺激やかぶれの原因になる場合があります。天然の食品成分だからといって、そのまま肌に使って安全とは限らない、という考え方が示されています。

天然由来の中でも、精油と植物エキスではリスクの大きさが違う: 天然由来の成分と一口に言っても、精油のように芳香成分を高い濃度で含むものと、植物エキスのように成分がかなり薄められた状態で配合されるものとでは、肌への刺激やアレルギーの起こりやすさが同じではないという整理がされています。天然由来という分類だけでなく、その成分がどのくらいの濃度で、どんな性質を持つ物質として配合されているかを見る必要がある、という考え方です。

合成成分は単一の物質であるぶん、リスクを見極めやすい面もある: 合成された成分は、多くの場合ひとつの物質として作られているため、その成分に対して肌が反応するかどうかを比較的判断しやすいとされています。一方で天然由来の精油や植物エキスは、複数の化学物質が混ざり合ってできているため、どの成分が刺激の原因になっているかを特定しにくい面があります。「天然だから優しい」「合成だからリスクが高い」という単純な図式ではとらえきれない、という指摘です。

食品由来成分を配合した化粧品と、食品そのものを肌に使うことは別のリスク: 過去に、食品由来の原料を配合した石けんで、後天的にアレルギーを発症したことが報告された事例があります。これは、配合されていた原料の分解のされ方や分子の大きさ、石けんという製品の特性など、複数の条件が重なった結果だとされており、食品由来の成分が入っている化粧品すべてに同じ大きさのリスクがあるわけではないという整理がされています。あわせて、食品をそのまま手作りでスキンケアに使うことと、化粧品として設計・配合された食品由来成分を使うこととは、リスクの大きさがかなり異なるとも述べられています。