望遠レンズ

カメラ・レンズ

遠くを引き寄せ、背景を整理するレンズ

どんな道具か

35mm換算でおよそ85mmより長いレンズ。200mmで対角約12度と、切り取る画角がかなり狭い。遠くのものを大きく写せるほか、背景のごく一部だけを大きく引き伸ばして写すので、余計なものが画面から消える。背景を選んで整理できることのほうが、遠くが撮れることより効く場面は多い。

選び方

人物、動きもの、風景の一部を抜くのに使う。入門は70〜300mmの望遠ズームで、値段は5万〜15万円ほどと幅が広い。手ブレ補正の有無は確かめたほうがよい。開放F値は暗めのものが多く、被写界深度の浅さを狙うなら明るい単焦点のほうが向く。重さと最短撮影距離も見ておく。

使い方のコツ

よく言われる「圧縮効果」は、遠近感を決めているのは被写体との距離で、望遠はその狭い範囲を切り取っているだけ。だから遠くから狙うほど前後が詰まって見える。手ブレは目立つので、シャッタースピードは1/焦点距離を目安にする。200mmなら1/200秒より速く。反復とパターンを抜くのにも向く。

手入れ・注意

重心が前に寄るので、レンズ側を持って運ぶ。ボディだけ握るとマウントに負担がかかる。三脚に載せるときも、レンズ側に三脚座があるならそちらで固定する。伸びるタイプのズームは下へ向けると自重で鏡筒が滑り出るのでロックをかける。冷えた屋外から室内に入るときは、袋に入れたまま温度をなじませると曇らない。

解説動画: 望遠レンズで背景をぼかし主役を浮き上がらせる/Takanori Yazawa 矢沢隆則

望遠のもう一つの効果として挙げていること: 遠くを大きく写すほかに背景ぼけがあり、絞りを開けてぼかすのとは別の効果だと言う。F値が大きくても焦点距離を伸ばせば背景はぼけるとし、作例として85mmのF1.8と50mmのF1.2を並べ、ぼけ方がほぼ同じになることを見せている。

圧縮効果: 被写体との位置関係を変えないまま焦点距離を伸ばすと、背景に入る範囲が狭くなって遠近感が乏しくなる。これを圧縮効果と呼ぶ。200mmまで伸ばすとさらに強まり、背景のぼけも深くなる。全身を撮るときも離れて構えられるぶん体の見え方が自然になるという。

絞りと焦点距離の組み合わせ: 200mmをF4に絞った一枚は、50mmのF1.2より主役が浮き上がり、二枚の層が重なったように見えるという。開放では肩の奥の柄までぼけるが、絞れば柄が残る。F値で被写界深度を保ちつつ焦点距離のほうで背景をぼかすのが望遠の使いどころだと結んでいる。

現場での絞りと手ブレ: 服の細部を残しながら背景だけ整理したいファッションの撮影で、この組み合わせが使われると挙げる。動く相手ならF5.6からF8まで絞ってISOを上げるほうが当たりが増えるという。ただし望遠は手ブレがきびしいので、手持ちではシャッタースピードを遅くしすぎないと注意を添えている。