シャドウ

光

シャドウは、画面の暗い部分。形を支える側。

どういう意味か

画面の暗いほうを指す言葉。ものが落とす影と、光が当たらない面の暗さの両方を含み、絵ではこの二つを分けて扱うことが多い。イラストレーターの駅前(YouTubeチャンネル「焼まゆるのお絵かきちゃんねる」)は、物の中で光の当たらない部分にできる暗さを陰(いん)、その物が地面や他の面に落とす暗さを落ち影(おちかげ)と呼び分け、両方を意識して塗ることをすすめている。暗い中にも段階があるのがふつうで、一様に真っ黒で何も見えない状態は黒つぶれと呼び、そちらは失敗のほうに数える。

どこで出てくるか

写真編集の「シャドウ」「黒レベル」のスライダーと、ヒストグラムの左端。絵の解説では明暗法の話や、暗がりから人物が浮かび上がる描き方の説明に出てきて、聖マタイの召命がよく例に挙がる。視覚科学の実験では、生後7か月の乳児が、2つの物の影の位置だけを頼りに、片目でどちらが近いかを選んで手を伸ばしたと報告されている。両目で見たときは差が出ず、影だけが手がかりだったとみられる。

使い方

暗い部分を「写っていないところ」ではなく「見せない選択」として使えるようになる。写真ならシャドウを持ち上げすぎない。持ち上げるほど色は濁り、ざらつきも出てくる。絵なら影に周りの色を混ぜて黒一色にしない。イラストレーターのSinix Designは、シャドウの色を単純な黒や灰色にせずその場を包む環境光の色に合わせるとよいと説明し、Marco Bucciは3DCGソフトを使った作例で、太陽の直射を受ける球の影には地面や周りの物からの反射光の色が混じり、球がまるごと日陰に入ると反射光の影響は弱まって空の色が強く出る、と示している。コントラストの効き方は、明るい側よりも暗い側の置き方で決まると見ると分かりやすい。

出典

  1. 動画 焼まゆるのお絵かきちゃんねる 【わかりやすい!】影の塗り方 初級編
  2. 動画・英語 Sinix Design Improve Your Art with Better Shadows
  3. 動画・英語 Marco Bucci Understanding Shadow Colors (Ambient Light Part 2)
  4. 論文・英語 Albert Yonas, Carl E. Granrud(2006) Infants' perception of depth from cast shadows

解説動画: 影の色は周りの環境で決める 境目と段階のつけ方/ばななふぃっしゅ / 坂本トウヤ

影をどう捉えているか: 影を一律に暗くするのではなく、光が当たらない面の暗さと、物が落とす影を分けて考えている。光の当たる部分は光源の色に寄って明るくなり、影側は太陽光がほとんど届かないぶん空の青の影響を受けて青みに寄る。地面からの照り返しで影の下側は地面の色を帯び、照り返しが届かない落ち影は本体の影より暗くなるとし、空の光も照り返しも届かない所はさらに暗いと段階で説明している。

影の色の選び方: 色を決める手がかりは周りの環境ひとつだと言う。青空の下なら青み、森の中なら黄緑、雪の上は照り返しが強くて影が薄く、夕方は光が弱いぶん暗い紫になる。実際の写真でも白い部分を見ると環境の色が出ている。周りが明るいほど影は薄く、暗い室内では濃くなる。背景から浮かせたいときはあえて外す手もある、とも添えている。

境目に質感が出る: 落ち影の境目は物との距離で見る。近いほどくっきり、離れるほどぼかす。さらに境目そのものが素材を語るところで、岩のようにラフなものはガタガタに、柔らかいものはぼかした境目になる。毛足の長いマフラーを、削った境目とぼかした境目で塗り分けて、同じ形でも質感が変わることを見せている。境目に彩度の高い色を乗せると光が拡散した表現になり情報量も上がるとも勧めている。

塗る順番: 手順は一影、二影、その間をつなぐグラデーション、最後に照り返しの順。一影は光の当たらない部分、二影は環境の光も照り返しも届かない影の中の影で、二影は下の色の色相に合わせた暗い色にする。彩度は一影で上げ、さらに暗い二影では下げるとよいのではないか、という色相環の話は自分なりの考察だと断っている。