点描
技法
点描は、小さな色の点を並べて描く。
どういう意味か
絵の具を混ぜず、純度の高い色の小さな点を隣に並べて置く描き方。目の中で色を混ぜさせることをねらい、新印象派の中心にある。当時は、こうして作った色は混ぜた色より明るく輝くと考えられた。この技法の下敷きは、シュヴルールが1839年に出版した色の同時対比の法則。テート美術館は、スーラたちの技法を分割主義(divisionism)と呼ぶ。点描は俗称で不正確な呼び方で、シニャックもこの語を否定したという。
どこで出てくるか
グランド・ジャット島の日曜日の午後の前。207.5×308.1cmの画面が点で埋められ、近づけば橙と青の粒、離れれば芝生の緑に見える。サン=トロペの港のように、粒が大きくタイルを並べたように見える例もある。近代美術の展示室では、解説に点描と分割主義が併記されることもある。
使い方
見るときは、近づいて粒の色を確かめ、離れて粒が一色にまとまる距離を探す。描くときは、絵の具を皿で混ぜず純色の点を隣に置く。補色どうしを隣に置くと互いをより鮮やかに見せると当時は考えられた(The Met の解説)。混ぜると暗くなるが光は重ねると明るくなる(山田五郎の解説)ので、混ぜないほうが明るさが残る。点描の境目は主に色の違いで生まれ、明るさの差ではないと、2018年の視覚研究の要旨は述べる。
出典
- 公的機関・英語 Tate Neo-impressionism
- 論文・英語 Jan Koenderink, Andrea van Doorn, Karl Gegenfurtner(2018) Area Dominates Edge in Pointillistic Colour
- 動画・英語 The Met How Can Art Trick Our Minds? Pointillism and Optics | #MetKids Microscope
- 動画 山田五郎 オトナの教養講座 点描画家【スーラ】細か〜い理論で作られた色と光に注目!【グランド・ジャッド島の日曜日の午後】
解説動画: 綿棒を束ねて点を打つ、点描の名画模写のやり方/文画絵画教室
何をどうやって描いているか: シニャックの《マルセイユ港の入口》を真似して描く手順を見せている。綿棒を10本ほど束ね、軽く水を付けてから溶いた絵の具を付け、一度にたくさんの点を打っていく。中心の黄色から始めて周りにオレンジ、続けてピンクを足していく順。点の色が付きにくいときは水を足して絵の具を緩くするとよいという。
色を混ぜずに並べる: いつもはパレットの中で混ぜる色を、この描き方では絵の上で直接混ぜていく感覚になると話している。水色とピンクが重なる所は少し紫っぽくなり、黄色と混ざる所は黄緑にも感じられるという。実際に描いてみて色がとても鮮やかに感じられ、目に眩しいほどだと感想を述べている。
点の並べ方: 画面の下半分の水面は点が比較的横向きに並ぶのに対し、空は点がカーブを描くように並べると綺麗だという。隙間があまり残らないようにどんどん打っていくのが基本で、量の少ない水色の部分は綿棒を5本ほどに減らして打つなど、束ねる本数で加減している。
細かい所の描き方: 両側の建物や船は綿棒を1本だけにして立てて打ち、少しずつ形をはっきりさせていく。それでも描きにくければ一番細い筆で形を取るのを助けにしてよいという。ただし船のマストのような線は、点で描いた周りに比べて硬く不自然に見えるので、線の上から点を重ねてぼかし、なじませると説明している。