インパスト
技法
絵の具を厚く盛り上げる塗り方
どういう意味か
絵の具を厚く盛り、筆やナイフの跡をそのまま残す塗り方。イタリア語で「練った生地」を指す言葉。表面に凹凸ができるので、実際の光が絵肌に当たって小さな影を作る。同じ白でも、平らに塗った白より強く見え、近づくほど立体的になる。
どこで出てくるか
夜警やひまわりの前では、斜めの位置に立つと絵肌の凹凸が見えてくる。絵肌を見せるために横から光を当てている展示も多い。画材売り場では、盛るための固いペーストやパレットナイフの棚がこの技法の道具にあたる。
使い方
厚い・薄いを絵の情報として読めるようになる。光の当たる所ほど厚く、影は薄い、という置き方が多い。自分で使うなら油彩かアクリル絵の具で、厚い所は乾きが遅くひび割れやすいので、薄い層から順に厚くしていく。
解説動画: 厚みは下地で作る、油彩の絵肌の作りかた/James Gurney
厚塗りをどう作ると言っているか: 絵の具をチューブから出して重ねれば厚い絵肌はできるが、乾くのに非常に時間がかかる。そこで先に速く乾く材料で凹凸を作り、その上から薄く塗り重ねて凹凸を浮かせるやり方を勧める。浅浮き彫りの下地を先に作ると考えればよく、絵は上から光が当たる前提なので厚い所の白ほど明るく見えるという。
凹凸に色を流す: 盛り上げ用のペーストは歯磨き粉ほどの粘度で、数時間で乾く。下地は塗り残すと油の染み込み方が変わって明度が狂うので、下塗り用のメディウムで全面を覆っておく。乾いた面は吸水性が高く、溶剤で薄めた黒は谷に沈むので、布で拭くと山側の色が出る。ナイフで線を引くこともできる。凹凸は輪郭に収まらなくてよいとも言う。
どこを厚くするか: いちばん面白い質感が出るのは光が影に変わる境目で、影そのものにはあまり質感がないとする。だから光の来る側ほど絵の具を厚く置き、影側は灰色の厚みで明度を落とす。画面じゅうを同じ筆致と同じ密度で埋めると作り物めいて見えるので、空は比較的滑らかに残しておくのが好みだと話している。
乾かし方と、見せ方: 油絵具で下地の厚みを作るときは、吸取紙で油を抜く。乾燥剤をほんの少し混ぜるのもよいとし、そうしないと乾燥に非常に長くかかるという。できれば一晩は乾かしたい。白熱電球の熱で少し早められるが、熱くしすぎないよう注意する。仕上がった絵肌は正面からの光では平坦に見え、斜めの一方向から光を当てると凹凸がよく分かる。