明暗法
技法
強い光と濃い影で立体を出す
どういう意味か
明るい所と暗い所の差で、物の丸みや空間を出す描き方。イタリア語の「明るい(chiaro)」と「暗い(scuro)」を合わせた語。差を極端にし、背景をほとんど闇に沈めるやり方はテネブリズムと呼んで区別されることが多い。
どこで出てくるか
バロックの展示室でよく出てくる。聖マタイの召命は322×340cmの画面の大半が暗がりで、斜めに差す一条の光が卓上の手と顔だけを起こす。写真の解説では、同じ状態をコントラストが高いと言う。
使い方
暗い絵の前で「何も見えない」と諦めず、光が当たっている場所だけを順に拾えるようになる。そこが画家の見せたい順に並んでいると解釈されることが多い。撮る側ならサイド光を狭く使い、暗部に引っぱられた露出を下げると同じ起き方になる。
解説動画: デッサンの明暗、調子とヴァルールの使い分け/uniatelier
明暗を何のために使うと説明しているか: デッサンを作る四つの要素のうち、形の次に来るのが明暗だとして、光を当てて影を作ることで立体感や量感が出ると説明する。影ができない全光も、全部が影になる逆光も、上手い人でさえ立体を出しにくい状態。斜め横や斜め前など、影がきれいにできる光の当て方でモチーフを組むよう勧めている。
いちばん明るい所といちばん暗い所: 最も明るいのは光に直角にぶつかる面。最も暗いのは光の反対側かと思いきや、日向と日陰の境目だと言う。背後のものから返る反射光が反対側からうっすら回り込むためで、原理と実際に見えるものが一致したとき描いていて腑に落ちるとしている。画面の中で白の最大と黒の最大がどこに来るかを探す見かたを勧める。
調子(トーン)の役割: 調子は明るいから暗いまでの階調の段階を指す。頬の明るさを追って少し明るい、少し暗いと置いていくが、階調をそのまま再現することが目的ではない。追いかけた結果として面の向きが表現できていれば成功で、それが基礎デッサンでの調子の役目だとしている。陰と、床に落ちる影を分けて考える点にも触れる。
ヴァルールという言い方: もう一つがヴァルール。フランス語で英語のバリューにあたり、教室では合っている・狂っているという使い方をすると紹介する。狂うと奥のものが前に出て見え、出したいものが引っ込んで見える。隣り合う調子が実際より明るすぎたり暗すぎたりすると破綻するので、調子が合えば空間と奥行きも出ると結んでいる。