グレーズ

技法

透明な色を薄く重ねて深みを出す

どういう意味か

乾いた層の上に、透明な絵の具をごく薄く重ねる塗り方。下の色が透けて上の色と重なるため、混ぜて作った色より奥行きのある発色になる。重ねるほど明るさは下がるのに、鮮やかさは濁らずに残るのが、混色との大きな違い。

どこで出てくるか

初期フランドルからヴェネツィア派まで、油彩の解説によく出てくる。アルノルフィーニ夫妻像の赤やウルビーノのヴィーナスの肌がその例とされる。画材のラベルにある「透明」の記号は、この使い方に向くかどうかの目印で、透明と書かれた色ほど下の層を隠さずに残す。

使い方

色が深いと感じたとき、その正体が重ね方にあると気づけるようになる。油彩では下の層が完全に乾いてから重ねないと溶けて濁る。アクリルなら専用のメディウムで薄めれば早く次へ進める。写真で薄い色を全体に乗せる調整も、発想は同じ。

解説動画: 凹凸のある画面に透明色を薄く重ねるグレーズの手順/uniatelier

どんな技法として説明しているか: グレーズはグラッシ、おつゆ描きとも呼ばれる、透明な色を薄く溶いて画面にかける塗り方だと説明している。絵の具の量はごく少なく、大きく伸ばして色水のような状態で使うのが基本で、塗るというより染め付ける感覚に近いという。ナイフで盛り上げただけでは見えにくい凹凸も、乾いた上からかけると浮き上がってくると話している。

用意するもの: 溶き油には天然のダンマル樹脂を使い、濃さ33%のものをテレピンで2割ほど薄めて絵皿に取っている。絵の具は透明色の紫を主にし、ウルトラマリンとバーントアンバーを混ぜた色で調整する。この2色は黒の代わりになる影の色で、青が多ければ冷たい影、茶が多ければ温かい影になると説明している。筆は豚毛より柔らかい毛の扇形のもの。

塗り方のコツ: 凹凸の隙間に色が溜まるように色水を乗せ、濃くなりすぎた所はウエスで叩いたり擦ったりして拭き取る。わざとムラを作るのが要で、青みの強い所と赤みの強い所を場所ごとに変えるという。均一になりすぎないほうが面白い表情になると勧めていて、ざらついた地では絵の具が弾いて白く残る部分も出ると話す。