空気遠近法

形・構図

遠くほど青く淡くなる見え方

どういう意味か

遠くのものほど淡く、青みがかって見える現象を、そのまま絵に持ち込む描き方。空気中の水蒸気やちりが光を散らすため、遠景は彩度が落ちて輪郭もぼやける。線を一点に集める遠近法と違い、色の変化だけで奥行きが出る。

どこで出てくるか

レオナルドが早くから使い、書き残した考え方で、モナ・リザの背景がその代表とされる。奥の山ほど白っぽい青に沈み、手前の岩肌だけが硬く見える。風景写真でも、朝もやのかかった山並みや、遠くのビル群で同じ見え方が起きる。

使い方

遠くを描き込みすぎない、という判断ができるようになる。奥は色を薄め、輪郭をぼかすだけで距離が出る。写真ならホワイトバランスを少し青寄りにし、もやの残る朝を選ぶと出やすい。手前に濃い枝を一つ入れると差がはっきりする。

解説動画: 遠くほど青く明るくなる 地面・山・木の描き分け/ひろアトリエ

どういう法則として説明しているか: 風景画の教本を追う回で、レオナルド・ダ・ヴィンチが見つけた法則として、色は遠くに行くほど青く、同時に明るくなると押さえるところから始める。最後まで残るのは青と青紫で、黄色系は黄緑から緑、エメラルドを経て青へ、オレンジ系はピンクから明るい赤紫を通って青紫へ移る。この色の流れと明度の上がり方が空気遠近法だとまとめている。

地面と手前が要: 風景画では地面のほうが空より圧倒的に重要だと言う。前景の花や草、黄色い稲といった鮮やかな固有色があってはじめて、奥の色の変化が効いてくる。難しいのは遠景ではなく手前の短い距離で、一インチ遠ざかるごとに青いカーテンは厚くなるという教本の言葉を紹介し、間にものを置いて距離を示すのも有効だと添えている。

山と木: 麓より頂上のほうが自分から遠いので、頂上ほど明るく青紫に寄せ、手前の斜面ほど暖かくする。遠くの山を強い黄色で描くと山だけ手前に出てきてしまい、そういう風景画は成立しないと言う。木も遠いほど明るく冷たくなり、暗い部分のほうが早く青く寄るが、木そのものが持つ暗さのバランスは崩さないよう注意している。

効きの強さは調整する: 雨上がりは空気が澄んで青いカーテンが薄くなるため、空気遠近法が弱く遠近感を出しにくい。澄んだ空気を描きたいなら効きを弱め、逆に奥まで透き通って見える絵ならもっと使う、という強弱の調整として扱っている。色の変化が要なので無彩色の風景画には限界があるとも言い、線の遠近法に頼るしかない漫画を対比に挙げている。