拡散光

影の縁がぼける柔らかい光

どんな型か

光が雲や布、障子などを通って散らばり、あちこちから当たっている状態。曇りの日、建物の日陰、白い壁の部屋の中がこれにあたる。影の縁がぼけて、明るい所と暗い所の差が小さくなるのが共通の特徴。

何が起きるか

影が弱いぶん、色と細かい形が素直に見える。人の肌は荒れが目立たず、料理や絵を写して記録するときもこの光がいちばん扱いやすい。ただし明暗で形を見せる力は弱く、何も工夫しないと画面全体が平たくなる。

使い方

絵では影を薄い1段だけ置き、明度の幅を狭く保つと曇りの空気になる。写真では曇天や日陰、窓にかけた薄手のカーテンがそのまま拡散光になる。平たくなるのを防ぐには、片側にレフ板を立てて弱い方向を作るか、背景に暗い場所を選んで被写体を浮かせる。

やりがちなミス

曇りと日陰は光の色温度が高く、そのまま撮ると全体が青く沈む。ホワイトバランスを曇天寄りに合わせて直す。光の量そのものが少ないためシャッタースピードが落ち、手ぶれや被写体ぶれも起きやすくなる。

解説動画: 曇りの日の写真が平坦になる理由と直し方/ログカメラ

曇りの光をどう捉えているか: 曇天は光が均一に当たるため被写体の境目が曖昧になり、立体感や奥行きが失われると説明している。人の脳は明暗の差で形や輪郭を読み、コントラストの強いものを主役だと見なす性質があるので、その差が消えると何を見ればいいか分からない写真になる、という筋道で理由を立てている。

パッとしない4つの理由: 挙げているのはコントラストの低さ、彩度の低さ、被写体と天候のミスマッチ、白く飛んだ空の4つ。とくに空は、視線が暗い所から明るい所へ、手前から奥へ動く性質と重なるため、白い空に目が吸い寄せられ、そのまま画面の外へ抜けてしまうという。

明暗と色を足す: 対策として、木漏れ日や滝のように明暗が自然に生まれる場所を探すこと、暗い建物の中から明るい外を見る位置に立つことを挙げている。色はくすんだ背景に原色の主役を1つ置く方法を勧め、雨の日の赤い傘や紫陽花を例にする。いっそモノクロにすれば色の問題は消えるとも言う。

被写体と空の扱い: 被写体を先に決めて出かけるのではなく、その日の天候に合う被写体を探す視点を持つよう勧めている。荒れた海の岩、雨に濡れた紫陽花、霧に包まれた山。白い空はフレームから外すか、逆に白さを生かして中央に被写体を置くミニマル構図にする。柔らかい光は細部や質感を写しやすいという利点も挙げている。