採水のしかた

測りかた

効く相手: 全部

どこで汲むかで、答えが変わります。入口と出口、朝と夕方、底と表層では別の水なので、決めた1か所と時刻で続けます。

何を表す数字か

測っているのは汲んだその一杯の水であって、系の全体ではありません。魚槽の出口と、生物ろ材を通った後と、栽培床を出た後では、通ってきた仕事が違うぶんだけ値が動きます。ろ材の後はアンモニアが減り、床の後は酸素が使われています。代表させる場所を1か所決め、別の場所の値どうしは、そのまま並べません。

目安の範囲

立ち上げの間は毎日、落ち着いたら週1回が目安です(NMSU 普及資料・Klinger-Bowen ら 2011)。米国環境保護庁の手引きは、同じ時刻・同じ間隔で測ることを前後を比べられる条件として挙げています。藻がいる水では pH が日の出に最も低く、日没に最も高くなるので、時刻がずれれば別の数字になります。

動くと何が起きるか

昼に測った値は、夜の底を映しません。藻は昼に酸素を出し、夜は使う側に回るからです(FAO 技術報告 589)。明け方だけ酸素が足りないは、そこで見落とされた側の姿です。給餌の直後は消化のぶんの消費が乗ります。

測りかた

溶存酸素(DO)は汲み置きの水で測りません。米国地質調査所は、その場に沈めて 60秒以上なじませ、±0.2 mg/L に落ち着いた値を、流れのないところでは3回以上の中央値で読むとしています。エアストーンの泡が当たる位置は避けます。pH は汲んで2時間以内に。記録には時刻と水温を添えます。

誰がどう測った値か

その場で測る手順は米国地質調査所の現場手引き(2020年)、時刻をそろえる考え方は米国環境保護庁の市民モニタリング手引き(1997年)から取りました。どちらも河川の公的観測のための文書で、家庭の系の値を保証するものではありません。

解説動画: Environmental Sciences | How To Collect Water Samples/Lakeland College Canada

代表する一杯: 動画は、川の栄養塩やアオコ、農薬、油分が気になるときの水の汲み方を、実際に川に入って見せます。調べるにはまず水域を代表する一杯を取り、それを研究所へ送って分析してもらうのだと言います。やること自体は簡単だが、失敗もしやすいと前置きしてから、順に手順へ入ります。

上流側で汲む: 最初に確かめるのは流れの向きです。歩いて入ったときに巻き上げた泥や、脚に付いていた埃は流れに乗って下流へ運ばれていくと説明します。だから汲むのはいつも自分より上流側、すすいだ水を捨てるのは下流側。立つ位置と汲む位置の順番だけで、混ざり物をよけられると述べます。

表面の膜を避ける: 蓋を開けて水面からすくうのは悪い例だと動画は言います。表面張力でできた薄い層に埃や植物のかけら、小さな虫が乗っていて、そこだけをすくうと上澄みを瓶に入れることになるからです。代表になるのは水柱の真ん中あたりで、蓋をしたまま沈め、水中で開けて空気を出し、満たしてから蓋を戻します。

三回の共洗い: 瓶は検査室から来たものでも、石けんや埃が残っているかもしれないと動画は言います。そこで同じ汲み方で三回すすぎ、その水は下流へ捨てます。仕上げの一本は空気の隙間を残さず満たす。頭に空気があると気体が溶けたり出たりして値が動くためで、何を調べるかで要否は変わると添えます。

冷やして運ぶ: 最後は、どこで採った水か、瓶の番号、何の分析を頼むかを用紙に書き、氷を入れた箱で四度ほどに保ったまま運ぶところまでです。冷蔵庫と同じ理屈で、微生物が中身を変えてしまわないように止めるためだと言います。この本が溶存酸素(DO)をその場で読むとしているのも、持ち帰る間に水が変わるからです。