電極の校正と保管

測りかた

効く相手: 全部

電極は、校正した日から狂っていきます。pH は2点、EC と DO はそれぞれの手順で合わせ、乾かさないで保管します。

何を表す数字か

電極が返すのは電圧や、蛍光の消え方です。濃度そのものではないので、標準液に当てて「この信号ならこの値」という線を引き直す作業が要ります。それが校正です。pH なら25℃で 59.16 mV/pH 単位が理論の傾きで、実測がその 95〜101%から外れたpH計は、洗うか替える時期に来ています。

目安の範囲

米国地質調査所は pH を毎日校正し、標準液との差が ±0.05 pH 単位を超えたら合わせ直すとしています。溶存酸素は飽和の計算値との差が ±0.2 mg/L か 2% 以内、電気伝導度は100 µS/cm 以下の範囲で ±5 µS/cm、それより高い範囲で ±3% 以内なら、合わせ直す必要はありません。標準液は試料と 10℃ 以内の水温になじませてから当てます。

動くと何が起きるか

pH が 0.2 ずれると、同じ総アンモニア態窒素(TAN)でも毒の側の見積もりが動きます。割合は pH が 1 上がると約10倍になるからです。酸素の校正は気圧と塩分の補正込みなので、標高や天気を入れ違えると酸素飽和度の読みがずれます。水を疑う前に標準液へ当て直すほうが、原因は早く割れます。

測りかた

pH は試料をはさむ2点(7.00 と 4.01、必要なら 10.01)で合わせ、標準液は使い回さず、期限の切れたものは使いません。溶存酸素計は空気と釣り合った水を基準にして1点。隔膜式は膜と電解液を替え、光学式の蛍光キャップは1〜2年で交換します。電極を精製水に浸けたまま保管しない——保存液に入れます。

誰がどう測った値か

手順は米国地質調査所の全国現場手引き(pH 2021年・溶存酸素 2020年・電気伝導度 2019年)から取りました。河川と地下水の公的な観測のために書かれた文書なので、家庭の水槽を想定したものではありません。使うたびに校正し、毎日使うなら週1回でよいという現場の目安は、Klinger-Bowen ら 2011 が挙げているものです。

解説動画: pH計を校正します/スローライフ ねもっチャンネル

25℃の水で作る: 動画はpH 4.00・6.86・9.18の校正用パウダーを取り出すところから始まります。袋の裏には25℃でその値になると書いてあるので、精製水を低温調理器で温め、少し高めの27℃に設定して用意します。250mLの線を付けたカップを3つ、先に精製水ですすいでから同じ量ずつ注ぎ、粉を溶かしたら、どれがどの液か分かるように袋をカップの前に置きます。

三つの液を順に: pH計の先端を 6.86 の液へ入れ、表示が落ち着いてから CAL ボタンを5秒押します。表示が3回点滅して終わると、その値で合ったことになる。同じ手順で 4.00、9.18 と続けます。液を移るたびに先端を精製水ですすぎ、粉をかき混ぜたスプーンも洗ってから次のカップへ入れています。

先端だけ浸ける: 深く沈めると壊れます。動画は、黒いキャップが差さっていたところまでしか液に入れないと断り、防水ではない作りだからだと説明します。入れたら少し振って表示が止まるのを待ちますが、わずかに揺らしただけで数値が動くので、落ち着いてから読むところまでが一つの手順になっています。

合わせた後に確かめる: 三つとも終えたあと、動画はもう一度それぞれの液へ当てて確かめます。4.00 は少し高く出てずれが残り、6.86 も小さくずれましたが、どちらも「まあ OK にしましょう」と進みます。合わせた直後でも当たりきらない値があることが映っている点が、この作業のいちばん正直なところです。

その先で水を測る: 最後に動画は自分の池を場所を変えて測り、9.55〜9.61、ならして9.58という高い値を読み取って、掃除を考えると結びます。標準液に当て直したうえで測ったからこそ、この高さを水そのものの話として扱えます。pHの読みが思っていたのと違うときに、まず戻る場所がここです。