浮遊物(TSS)
微生物に効く数字
効く相手: 微生物
濁りは、硝化菌の席を奪います。有機物が多いと従属栄養細菌が先に増え、酸素と場所を取ってしまいます。
何を表す数字か
水に漂う固形物の量で、ろ紙に残る重さとしてmg/Lで表します。溶けている養分とは別の数字で、濁りや沈殿として目に見える側です。中身は餌の食べ残しと魚のフン、はがれた菌の膜で、硝化菌がつく場所と酸素を、速く増える従属栄養細菌に渡してしまいます。奪われる側は溶存酸素(DO)から先に効いてきます。
目安の範囲
家庭で mg/L を測る手が乏しいので、入ってくる量の側から見積もります。ニューメキシコ州立大学の普及資料は餌 1 に対して固形物 0.25〜0.30 が出るとしています。FAO 589 は魚が餌の30〜40%しか体に残さないと書き、出た分の50〜70%はアンモニアとして溶け、残りが固形分にあたるとしています。
動くと何が起きるか
溜まると硝化が落ちます。Michaud ら 2006 は、有機炭素の無いときに比べC/N比 0.5 でアンモニアの除去速度が3割低く、比がさらに上がると5割低い一方、ろ材についた菌の数は倍になったと報告しています。溜まった先では酸素が尽きて黒い泥になり、培地の底に黒い泥がたまる状態へ進みます。掃除の間隔が空くほど、この取り合いは菌の側に傾きます。
測りかた
家庭で mg/L を測るのは難しい数字です。透明な管に汲んで沈むものを見る、白い受け皿に流して量を見るといった、目でそろえる手に落ちます。沈殿槽に溜まった量を掃除のたびに書き残すと、餌の量との対応が見えてきます。掃除の直後は低く出るので、測る日を決めて動かしません。水の色を同じ場所で写真に残すのも手です。
誰がどう測った値か
0.25〜0.30はニューメキシコ州立大学 Circular 680、30〜40%はFAOの技術報告 589 の記述で、どちらもティラピアを中心にした小規模の系が前提です。3割・5割はMichaud ら 2006 が、循環式養殖の水中式生物ろ過にアンモニア態窒素 2 mg/L を流して測った値で、家庭規模の系でどうかは分かっていません。
解説動画: 水槽の白濁りを除去する方法とは!?濁りの原因と透明度を上げる対策!/トロピカチャンネル
舞っている固形物: 動画は水が白く濁る原因を五つに分けます。一つ目は微細なゴミの浮遊で、水草に付いていた汚れ、多すぎた餌の食べ残し、洗い足りない砂利の細かい粒子が挙がります。どれも水の中を漂う固形の粒なので、しばらく静かにしておけばろ過装置が捕らえるか、底に沈んで水は澄むと述べています。
敷く前に洗う: 砂利からの濁りは置くときが分かれ目で、動画は砂利をよく洗い、水は勢いを殺して静かに注ぐと話します。粒に焼き固めた土は崩れやすく、掃除や植え替えのたびに潰れて粒子が出ます。栄養分を含ませた床材では溶け出した分そのものでも濁り、その濁りはコケの元にもなると付け加えます。
分解が追いつかない: 三つ目は分解する菌の働きが整っていないことで、立ち上げ直後によく見られると言います。老廃物も食べ残しも本来は菌が分解するので、そこが安定しないと水は濁ります。酸欠で菌が減っても濁るので曝気を試す、一度に大量の水を換えると急変で菌が減るので換水のやり方を見直す、と対処を分けて示しています。
出る量が多すぎる: 残る二つは水換え不足と入れすぎです。動画は、魚はどれも魅力的でつい入れたくなると前置きしたうえで、水槽の大きさに見合う数を超えれば排出物がそれだけ増え、どうしても濁ると述べます。ろ過装置だけに任せきりにせず、換水で汚れを外へ出し、壁面のふき取りやコケ取りまで同じ手入れのうちに入れることを勧めています。
捕るか、減らすか: 対策は三つ。多孔質の活性炭で濁りのもとを吸着する(効果はおよそ1か月で切れるので入れ替える)、目の細かいろ過マットで細かいゴミを捕まえる、ろ過そのものを足すか大きくする、です。目が細かいほど詰まるのも早いという但し書きが付きます。白濁の多くはろ過が出る量に追いついていないためだ、という結び方でした。