残留塩素

微生物に効く数字

効く相手: 微生物

補水した水道水が、菌を減らします。日本の水道は蛇口で残留塩素を保つよう決められていて、その濃度でも硝化菌には効きます。

何を表す数字か

水道水に残された消毒の力で、遊離残留塩素(次亜塩素酸など)と結合残留塩素(クロラミン)に分けて表します。菌を減らすために残してある濃度なので、生物ろ過の担い手にも同じように届きます。系の水について測る数字ではなく、これから足す水について測る数字です。蛇口の側の話だと考えると位置がはっきりします。

目安の範囲

水道法施行規則は、給水栓の水が遊離残留塩素 0.1 mg/L 以上、結合残留塩素なら 0.4 mg/L 以上を保つよう塩素消毒することを定めています。病原生物に汚染されるおそれがある場合は 0.2 mg/L、結合残留塩素なら 1.5 mg/L 以上とされます。いずれも下限なので、蛇口の値はこれより高いことがあります。地域や季節でも変わります。

動くと何が起きるか

FAO 589 は塩素とクロラミンを魚にも植物にも菌にも毒と書いています。多い量をいちどに足すと硝化が鈍り、アンモニアと亜硝酸が戻ります(立ち上げから数字が動かない)。確かめずに1割を超えて足さないのが同じ資料の目安で、汲み置きで抜けるまでに48時間以上かかります。抜けを早めたいときは強く曝気します。

測りかた

蛇口から汲んだ直後の水を、塩素用の試薬で測ります。汲み置いた水を測っても足す前の値にはなりません。強く曝気すれば抜けは早まりますが、結合残留塩素は汲み置きでは抜けにくいので、活性炭を通す手に切り替えます。塩素の試薬は水質試験キットの基本の組に入っていないことがあります。測れないときは、汲み置きの時間を長めに取り、足す量そのものを抑えます。

誰がどう測った値か

濃度の下限は水道法施行規則第十七条第一項第三号の条文そのもので、検査方法は環境大臣が定めると同条にあります。水道行政は2024年4月に国土交通省と環境省へ移り、同じ規則の別の条には国土交通省令の語が並びます。48時間と1割はFAO 589 の記述で、硝化菌が何 mg/L で止まるかを測った値ではありません。

解説動画: 【超簡単】水道水の塩素は一瞬で減らせる/水ジャーナリスト・橋本淳司/水ジャーナリスト 橋本淳司 / Junji Hashimoto

蛇口の水を測る: 動画は、汲んだばかりの水道水をパックテストに吸わせ、残留塩素を測るところから始まります。数秒待って色の見本と見比べ、この家の蛇口の水はおよそ0.4と読み取りました。水道法の規定では0.4から1の間とされていることにも触れます。水道水の味が気になるという声から出た実験で、まず自分のところの水を数字にするという順番になっています。

レモンで薄くなる: 次に、同じ水道水へレモンを3秒だけ浸けたものを、まったく同じ手順で測ります。色は目に見えて薄くなり、値は0.2まで下がりました。動画はこれをレモンのビタミンCと塩素が反応して中和が起きたためと説明し、もっと長く入れておけば塩素はさらに減っていくはずだと、途中の見通しまで述べています。

紅茶でも同じ動き: 紅茶のティーバッグを同じく3秒だけ浸けた水も、測ってみると0.2でした。動画は、紅茶の側にもビタミンCが含まれていることを理由に挙げます。ごく短い時間、しかも量の見当も付けずに入れただけでここまで動くところが、この数字の消えやすさをそのまま見せている場面になっています。

沸かすとほぼ消える: 最後に、いちど沸騰させて少し冷ました水を測ります。試薬にはほとんど色が付かず、動画は検出されないと言ってよいと読み取りました。理由は塩素が揮発したためです。もとの0.4、レモンと紅茶で0.2、沸かして0——同じ試薬で並べたこの順が、そのまま抜け方の違いになっています。

足す前の水として: 動画の話題は飲み水の味で、いろいろな工夫で水道水はおいしくできる、家庭でも理科の自由研究でも試せる、と結びます。やっていることは蛇口の水を測り、ひと手間かけて下げ、また測るという往復で、この往復は系へ足す前の水にもそのまま使えます。足した水を受け取る側には、生物ろ過の担い手もいます。