pH
微生物に効く数字
効く相手: 全部
三者の希望が、ここだけ食い違います。硝化菌は7.5以上、植物は6.5以下を好み、折り合いは6.8〜7.0あたりに置かれます。
何を表す数字か
水素イオンの濃度を対数で表した数で、1違えば濃度は10倍動きます。小さいほど酸性、大きいほどアルカリ性です。この系では、硝化菌と植物と魚で望ましい高さがそろわない場所として読みます。動かないでいるのはアルカリ度(KH)が残っているからで、pHは原因ではなく結果の側にあります。良い水か悪い水かではなく、いまどこで釣り合っているかを示す数字です。
目安の範囲
折り合いを6.8〜7.0に置き、6.4〜7.4までを許容とするのが、ニューメキシコ州立大学の普及資料です。FAOの小規模アクアポニックス手引きは目標を6〜7とし、硝化菌がはたらく幅は6〜8.5、多くの魚が耐えられる幅は6.0〜8.5と書いています。置きどころが資料で違うので、どちらを見た数字かを添えて記録します。
動くと何が起きるか
上がると硝化菌は動きやすくなりますが、非イオン性アンモニア(NH₃)の割合が増え、同じアンモニア量でも魚に効くようになります。7.5あたりからは鉄やリンが根から取れなくなるとFAO 589 は書いています。下がると逆で、6を切ると硝化の力が落ち、アンモニアが残ります。pHが毎日下がるのは硝化が進んでいる印で、それ自体は平常の動きです。
測りかた
pH計は使う前に標準液で合わせ、水温もそろえてから水に入れます。水質試験キットの比色式なら、白い紙の上、自然光の下で色を読みます。朝と夕方では違う値が出るので、測る時刻と場所を決めて続けます。試験紙は刻みが粗く、0.2ほどの差は読めません。判断が割れるところでは液体の試薬か電極に渡します。
誰がどう測った値か
折り合いの6.8〜7.0と許容の6.4〜7.4はニューメキシコ州立大学の普及資料 Circular 680、6〜7と硝化菌の幅はFAOの技術報告 589 の記述です。どちらもナイルティラピアを中心にした小規模の温水の系を前提にした普及向けの目安で、魚種や作物ごとに測り分けた値ではありません。日々の動き方は自分の系で記録するほかありません。
解説動画: 【今さら聞けない】アクアリウムとpHの関係をプロがやさしく解説!!/アクアリウム大学【アクアレンタリウム公式】
7を境にした物差し: 1から14の値で水の性質を表し、7を中性として、低ければ酸性、高ければアルカリ性と置く——動画はそこから始めます。人や動物に性格があるように水にも性格があり、水の場合はそれを性質と呼び、その一部がpHという言葉で表される。そのうえで、なぜアクアリウムでこの値が注目されるのかへ話を進めます。
蛇口の水とのずれ: 飲む水の基準は5.8〜8.6で、消毒に使う次亜塩素酸ナトリウムの量や地域、水道管の具合でも動くと述べます。実際には7.5あたりを目指す考え方がある一方、多くの熱帯魚と水草が好むのは6.0〜6.8の弱酸性。蛇口の水と魚が望む値がずれているところが出発点だと言います(→残留塩素)。
高いとき、低いとき: 高いと魚の色が褪せ、多くの水草が育たなくなる。低いほうでは、3から4まで下がったアロワナの水槽で、泳ぎ回っていた魚が底に沈んで動かなくなった経験を挙げます。金魚は低い値に弱いとも、手を入れると水がドロッとして感じられたとも話し、どちらにも振れさせないと言います。
下がる理由をたどる: では、なぜ下がるのか。動画は原因は簡単だと言い、菌がはたらいて硝酸や亜硝酸が水槽にたまるからだと答えます。そしてなぜそこまでたまるかといえば、魚の量と餌の量が、その設備に対して多いから。落ちた値を戻す前に、まず出している側の量を見るという順番になっています(→pHが毎日下がる)。
戻し方の順番: 戻すには、まず半分ほどの水換え。水道水の値で持ち上がり、たまっていた分も薄まるからです。ただしろ過槽が目詰まりしていれば、またすぐ下がるので、詰まりを見て掃除してから水を入れる。それでも戻らなければ餌と魚を減らす、ろ過を増やす、カキ殻を入れる、と挙げて結びます(→アルカリ度(KH))。