アルカリ度(KH)
微生物に効く数字
効く相手: 微生物
pHが動かないのは、これが残っているからです。硝化はアンモニア態窒素1 mg/L あたり約7.14 mg のアルカリ度を使うので、放っておけば減り続けます。
何を表す数字か
水に溶けた炭酸イオンと炭酸水素イオンの量で、酸が入ってもpHが動かずにいられる余力を表します。炭酸カルシウム換算の mg/Lで書きます。カルシウムやマグネシウムの量を指す硬度(GH)とは別の数字ですが、どちらも硬度と呼ばれるため取り違えやすいところです。pHは結果、こちらは原因の側にあります。水源を替えたときに最初に変わるのもここです。
目安の範囲
ニューメキシコ州立大学の普及資料は炭酸カルシウム換算で 100 mg/L 以上を保つよう書き、FAO 589 は60〜140 mg/Lを目安に挙げています。0〜60 mg/L を軟水、120〜180 mg/L を硬水とする分類も同じ資料にあります。補水に使う水の硬度で出発点が決まるので、系の中より先に水源の側を測ります。石灰質の地層から汲んだ水は高く出ます。
動くと何が起きるか
硝化が出す酸が毎日この余力を削るので、足さなければ減り続けます。消える量は硝化した窒素の量に比例し、その比の数字は硝化が出す酸に置きました。残っているうちはpHがほとんど動きませんが、尽きた先では一晩で落ちます(KHがゼロに近い)。落ちた水では硝化そのものが鈍り、総アンモニア態窒素(TAN)が残るようになります。餌を増やした分だけ減りも速くなります。
測りかた
水質試験キットの滴定式が家庭では使いやすく、色が変わるまでの滴数がそのまま値になります。週に一度、同じ曜日と時刻に測って減り方を見ます。貝殻や石灰石を入れた直後は高く出るので、入れた日と測った日を分けて書き残します。汲む場所も採水のしかたにそろえ、前回と同じ条件で比べます。測る前にろ材や貝殻をかき混ぜないことも、値をそろえるうえで効きます。
誰がどう測った値か
7.14 mgは硝化の反応式から出る量論値で、排水処理の分野でも同じ値が使われています。100 mg/L 以上はニューメキシコ州立大学 Circular 680、60〜140 mg/LはFAOの技術報告 589 の記述です。どちらも小規模の系に向けた普及資料の目安で、餌の量や魚の大きさごとに測り分けた値ではありません。
解説動画: あまり知られていないアクアリウムの基本となるお話(総硬度と炭酸塩高度/みりん3.24
硬度は二つある: 動画は、雨が土地に染み込む間にいろいろな物質が溶け込み、その量が硬度になると説明します。カルシウムやマグネシウムを見る総硬度と、炭酸水素イオンを見る炭酸塩硬度の二つに分けたうえで、石鹸の泡立ちが悪ければ硬水、良ければ軟水という身近な見分け方も挙げ、温泉地の水や井戸水は硬度が高いほうだと言います。
試薬が見ているもの: 炭酸塩硬度の試薬が測っているのは、水の中の陰イオンのうち炭酸水素イオンのほうだと動画は言います。総硬度のほうはカルシウム塩とマグネシウム塩で、上げるなら硫酸カルシウムなどを加え、下げるならイオン交換樹脂や浄水器を通した水を混ぜる。同じ硬度でも見ているものが違う、という分け方です。
ろ過が酸を出す: 魚が出したアンモニアがアンモニウムイオン、亜硝酸、硝酸へと分解されていく過程で水素イオンが出ると動画は話します。その水素イオンが炭酸水素イオンと結びつくと二酸化炭素ができるので、CO₂を添加しなくても育つ水草があるのはこのためだと説明します。硝化が出す酸の側から水を見る話です。
尽きるとどうなるか: 炭酸水素イオンが無くなると水は酸性に傾き、水生動物は生きていられなくなると動画は言い切ります。そうなる前に水換えをすること、しばらく換えていないなら検査薬で測ってから判断することを勧めます。魚が増えて過密になるほど減りは速く、水が慢性化して魚がよく跳ねる例も挙げます(KHがゼロに近い)。
足しても水換えは要る: 上げたいときは重曹でも上がる、と動画は言います。ただし下げる側は効きが強く、入れすぎると極端にpHが落ちて魚がショックを起こすので、落とす先を決めてゆっくり動かすよう釘を刺します。水量・菌・魚の量にこの余力も加えて釣り合わせること、足すことは水換えの代わりにならないことで結びます。