フィッシュレスサイクリング

立ち上げと安定

魚を入れる前に、アンモニアを与えて菌を育てる立ち上げ方です。アンモニアと亜硝酸が下がって硝酸だけが残るまで、水温しだいで数週間かかります。

何が何に変わるか

魚の代わりにアンモニアそのものを与えて、菌の食い扶持を先に用意します。細かく砕いた餌、アンモニウム系の肥料、混ぜ物のないアンモニア水などが源になり、水の窒素はアンモニア→亜硝酸→硝酸の順に移り変わります。FAO 589 は水中で1〜2 mg/Lを保つ量を目安に挙げ、洗剤・着色料・重金属を含む家庭用の製品は使わない、家畜の糞は殺菌してからと書いています。

どこで起きているか

反応の場はろ材の表面ですが、立ち上げは水を全部の部品に回した状態で行います。FAO 589 は、組んだ装置を2〜3日運転して不具合が無いのを見てから始める順にしています。生物ろ材やメディアベッドの粒だけでなく、配管や槽の壁も膜の場所です。菌は光に弱く、表面に定着するまでの3〜5日は特に紫外線に弱いので、槽とろ過部は覆っておきます。

速さを決めるもの

FAO 589 は通常3〜5週間、条件がよければ25〜40日、水が冷たいと2か月かかることもあると書いています。最初の投入から5〜7日でアンモニア酸化側が立ち、さらに5〜7日で亜硝酸が上がり始めます。速さを決めるのは水温で、ニジマスに合わせて15℃前後で回す系は長いほうの見積もりになり、すでに動いている系の生物ろ材を分けてもらえば縮みます。

止まるとどうなるか

与えるのをやめると菌は飢え、増えかけた膜が減ります。濃すぎても止まり、FAO 589 は3 mg/Lを超えたら水を替えるとしています。どちらでも立ち上げから数字が動かない状態です。終わりの目安は、アンモニアと亜硝酸がほぼ0で、硝酸態窒素(NO₃-N)だけが増えていくこと。ここを待たずに魚を入れると新水槽症候群の側へ移ります。

解説動画: How to Cycle Your Aquarium: The Secret to a Thriving Tank/Fresh Flow Aquatics

立ち上げとは何か: 動画は、立ち上げを魚より先に菌の暮らしを整える時間だと言い切ります。魚が出す汚れは総アンモニア態窒素(TAN)の形で水に入り、それを別々の菌が亜硝酸、硝酸へと順に移していく。新しく組んだ水槽にはこの受け皿がまだ無く、入れた魚が自分の出した汚れの中に置かれる。だから水だけを回して待つ時間が要る、という順で話を起こします。

三つの山を待つ: 次は数字の動きです。アンモニアの山が下がるころに亜硝酸の山が来て、それが落ちきると硝酸だけが残る形を、時間の図で示します。耐えられる濃さは形で違い、アンモニアは0.25mg/L、亜硝酸は丈夫な魚でも0.5mg/Lまで。硝酸は毒が弱く、立ち上げが終わっても0には戻らず10〜30mg/Lで落ち着くので、そこを終わりの形として覚えるよう述べます。

魚の代わりに与える: 魚を使わない立ち上げでは、餌をひとつまみ入れるか、アンモニアそのものを水に落とします。動画の目安は10ガロンあたり5mLで0.5mg/L。菌の側は市販の菌入りの液を足すか、生きた水草を入れる。水そのものに菌が多いというのは思い違いで、溶岩石や流木のように穴の多いものがすみかになると言い、生物ろ材もその一つに挙げます。

終わったかを試す: 終わったかどうかも数字で試します。同じ量のアンモニアを入れて24時間おき、アンモニアも亜硝酸も0、硝酸だけが増えていれば菌は追いついている。まだ亜硝酸が残るなら一週間おいて試し直す。かかるのは1〜6週間で、種になるものを入れれば数日で通ることもあれば、餌が薄すぎて何週間も動かないこともあると述べます。

魚は少しずつ: 最後は魚を入れる側です。丈夫な魚に汚れを作らせる昔のやり方は、毒の濃い水に魚を置く形なので勧めないと言い切ります。立ち上がった直後の系はまだ食べ切る力が小さいので、小分けにして入れ、菌が追いつく一週間を空ける。一度に増やせば菌の数が間に合わず、亜硝酸が跳ね上がった側へ戻ると結びます。