生物ろ過が崩れるとき

立ち上げと安定

菌はろ材の膜にいるので、洗い方ひとつで減ります。水温の低下、pHの落ち込み、餌の急な増やしすぎ、停電でも同じことが起き、まずアンモニアから戻ります。

何が何に変わるか

働いていた膜が失われて、アンモニアから亜硝酸へと亜硝酸から硝酸への能力が落ちる出来事です。餌から入る窒素の量は変わらないまま受け皿だけが小さくなるので、酸化されなかったぶんが水に残ります。戻り方には順番があり、アンモニアが先、亜硝酸が後。分解が奪う酸素を担う従属栄養菌がすぐ戻るのに対し、硝化側の立ち直りは遅れます。

どこで起きているか

舞台は生物ろ材の表面です。塩素の残る水道水で洗う乾かす一度に全部洗うが引き金で、FAO 589 は残留塩素とクロラミンを菌にも有害と書き、アンモニアが上がる原因の一つに「ろ材を洗ったばかり」を挙げています。固形物で目詰まりした内側が酸素が尽きた場所に変わる形もあり、日光が当たる置き方も同じ側の話です。

速さを決めるもの

水温が17℃を下回ると働きが鈍り、FAO 589 は10℃を下回ると5割以上落ちることがあるとしています。溶存酸素(DO)が2 mg/Lを切っても、硝化が出す酸でアルカリ度(KH)が尽きてpHが落ちても鈍ります。急に餌を増やしたときは負荷の側が跳ね、停電で流れと空気が止まる形は数時間の単位で効いてきます。

止まるとどうなるか

最初に総アンモニア態窒素(TAN)、遅れて亜硝酸態窒素(NO₂-N)が上がり、アンモニアが下がらないという形で現れます。戻るまでは日から週の単位で、フィッシュレスサイクリングと同じ道をもう一度たどることになります。備えはろ材は系の水ですすぐ・一度に全部洗わない・洗ったあと乾かさないの3つです。

解説動画: 初心者必見!水槽のフィルター掃除に水道の水は危険!?バクテリアを死滅させない正しいろ材の洗い方/ガックンch

洗いすぎない: 動画は外部式のろ過装置を開けるところから始まります。ろ材には有害な物質を分解する菌、つまり生物ろ過の担い手が住みついているので、頻繁に洗うほどその数が減り、分解する力が落ちます。それがそのまま水質のくずれにつながる、という順で説明します。話し手の間隔は月に一度ほどで、半年開けない人もいると紹介しつつ、放っておけば目詰まりするので掃除そのものは要る、と付け加えます。

水道水が効く相手: 洗い水に水道水を使う人がいるが、と動画は止めます。水道水の残留塩素は殺菌の力が強く、菌も生き物である以上、さらせば死んでしまう。ろ材に直接かければ立ち上げ前の状態まで戻ってしまう、という言い方をします。使うのは水換えで抜いた飼育水で、バケツに移し、その中でろ材をすすぐ手順を実際にやって見せます。

素材で分ける: 動画はろ材を種類で分けて扱います。プラスチックの容器や器具は水道水で洗ってよい。いっぽう菌が最も付いている生物ろ過用のろ材とスポンジは飼育水で洗う。物理ろ過のウールは目詰まりしたら取り替え、汚れが軽ければすすいで戻す。この分け方は外部式でも上部式でも壁掛けでもスポンジ式でも同じだ、と述べます。

軽くすすぐだけ: 実際の作業は、飼育水の中でろ材を軽く振ってゆすぐ程度です。さっきまで透明だった水がすぐ濁るほど汚れは落ちるので、見て汚れが目立たなくなったらそこで装置へ戻す。ボール状やリング状の生物ろ過用のろ材は定期的に軽くすすげばよく、目詰まりしやすい安いスポンジやウールは汚れたら交換でよいと言い添えます。

戻るまでの時間: 動画は、菌が繁殖して定着するまでにはとても時間がかかり、その間は有害な物質が処理されないまま水に残ると言います。病気が続いたり、うまく飼えなくなることもある。だから菌の数を減らさないことと、死なせないことの二つに尽きる、と結びます。この項目にとっては、洗い方ひとつで生物ろ過の力が落ちる引き金の話になります。