魚を入れる前に1か月ほど水を回す?
手間と経済の説
判定: 条件によって変わる
水を回しているあいだ、菌の増え方は目に見えません。だから終わりは、カレンダーではなく試薬の色で決めることになります。
言われていること
「魚を入れる前に、1か月ほど水だけ回して菌をつくる」と、入門の手順書はそろって書きます。フィッシュレスサイクリングと呼ばれるやり方で、アンモニア源を足しながら数字が動くのを待ちます。「4週間」「1か月」という日数がそのまま合図として語られることが多く、カレンダーの日付で数える説明も見かけます。
誰が、何を、どう測ったか
FAO技術報告589(Somerville ら 2014)の第5章が、期間と終わりの決め方を書いています。査読を経た論文ではなく、小規模の実機を想定した普及資料です。市販の種菌や、ほかの系の生物ろ材を分けると短くなるとありますが、どれだけ短くなるかの数値は載っていません。硝化菌は10〜15時間で倍という遅さで増えます。
測るとどうか
通常は3〜5週間、条件がよければ25〜40日、水が冷たいと2か月かかることもあります。終点は日数ではなく数字で、硝酸が上がり続け、亜硝酸が0mg/L、アンモニアが1mg/L未満になったところ。測るのは2〜3日おきで、アンモニアは1〜2mg/Lをねらい、3mg/Lを超えたら水を入れ替えます。魚と株を入れるのはそのあとです。
どう言えば正しいか
「1か月」は目安で、終わりを決めるのは数字の動きのほうです。水温が17〜34℃から外れると菌は遅くなり、冷たい時期は倍かかります。アンモニアから亜硝酸へ、亜硝酸から硝酸への順に山が来て、硝酸が上がりはじめてから魚を入れます。待たずに入れた結果が新水槽症候群で、日数だけを見ていると起こります。
解説動画: 【目からウロコ】水槽にバクテリアが定着しているか見極める方法を教えます/アクアリウム大学【アクアレンタリウム公式】
定着とはどの状態か: 動画はまず言葉を決めます。菌が定着したとは、砂やろ材に菌がつき、水槽で出たアンモニアを硝酸まで分解できる状態のこと。菌が増えたかどうかは目で追えないので、分解が最後まで進むかどうかで見る、という立て方です。亜硝酸から硝酸への一段まで届いて、はじめて定着と呼ぶと説明します。
三つの数字で見る: 見分けに使うのはアンモニア・亜硝酸・硝酸の三つです。アンモニアと亜硝酸が出ず、硝酸だけが検出されるなら、菌はもう働いている。動画は、この測定は水に悪いものがあるかを見るためというより菌が活動できたかを見る比重のほうが大きいこともあると言い、立ち上げたばかりで分からないなら水質試験キットで測ってみるよう勧めます。
測るのはいつか: 観賞魚の水槽が前提なので、話は魚が入ってからになります。魚がいなければアンモニアも出ず測っても意味が薄いため、入れて3日後に一度測る。ここでアンモニアや亜硝酸が出ていたら菌がまだうまく働けていないので、水換えで抜き、翌日か2日後にもう一度測って動きを追う、という順です。
茶色いコケが合図: 見た目でも判断します。立ち上げの初期に出やすい柔らかい茶色のコケと水の透明度を見て、汚れの量に対して菌が足りているかを推す。コケが出ているあいだは魚を入れないか、入れても数を減らす。そのうえで水換えの頻度を上げ、菌が追いつくのを待つ、というのが動画のやり方です。
菌の助け方と終点: 増やしたいときにまずやるのは、エアレーションで酸素を保つことと、人の手で水を替えて菌を助けることだと言います。種菌を入れるより、動いている水槽の水やろ材を移すほうが早いとも。溶存酸素(DO)を落とさずに待つ形で、動画には何日で終わるという日数が出てきません。決めているのは数字と見た目の側です。