根の伸び方

根の見た目

根の伸び方と枝分かれは、養液の条件で大きく変わります。噴霧では根がむき出しなので、その変化を掘り返さずに見比べられます。

何が起きているか

伸び方は、先端がどこまで進むかと、途中から何本が分かれるかの二つでできています。噴霧では根が空気の中に垂れているので、同じ株を日を置いて同じ角度で撮り、重ねて比べられます。培地の中では抜かないと見えない変化が、根が新しく出るところまで含めてそのまま並びます。先端が進む向きは、重力と霧の当たる向きの両方に引かれます。

何が効いているか

条件が変わると、長さも分かれ方も大きく動きます。養液のpHを変えたリンゴ台木の試験では、根の総長がpH 8区で1547.55 cm、pH 6.5区で771.64 cm、pH 5.5区で563.10 cmでした(Al Farqani ら 2024)。根の温度、休止時間の決めかた、株間と栽培密度も伸びる向きを変えます。

目で見て分かること

同じ高さから同じ明るさで撮り、先端の位置と、根が横へ張り出した幅を回ごとに比べます。先端が白く進み、途中から新しい枝が出ているなら伸びは続いています。長さが止まったまま束だけが厚くなる、板のように固まっているときは、根が短いまま伸びないと根が絡んでマットになるを見ます。枝分かれは、数えるより「増えているか」で見るほうが安定します。

どこまで確かめられているか

Al Farqani ら 2024(Frontiers in Plant Science)は Geneva 系リンゴ台木4種を噴霧チャンバーで育て、120秒ごとに10秒噴霧、根域25〜30℃・湿度80〜90%、30日、1周期72株を3周期で撮りました。著者自身が「非常に若い苗での結果で、圃場で確かめる必要がある」と断っています。葉物の目安には読み替えられません。

解説動画: Root Development/IIT Roorkee July 2018

伸びるのは先端: 動画は、根の伸びが先端の分裂組織で作られる細胞に支えられていると述べます。先端の近くには分化せずに分かれ続ける細胞が置かれていて、伸び続けるには細胞が絶えず作られることが要ります。根が長くなるのは、この一点が働いているあいだだけです。先端の組織そのものは、胚ができる段階ですでに用意されています。

根を三つの帯で見る: 根は先端から順に、細胞が作られる帯、細胞が伸びて長さを稼ぐ帯、組織が役目を持つ帯に分かれると説明します。二つ目の帯では層ごとの性格が決まり、三つ目で枝分かれが目に見える形で始まります。根が新しく出るところはこの三つ目に当たります。伸びと分かれは同じ根の別の場所で、同時に進んでいます。

静止中心を壊す: 先端の中心にはほとんど分かれない数個の細胞があり、まわりの細胞が幹細胞のままでいられるかを決めています。分化した細胞はデンプンをためるので、それを目印にできます。片方だけをレーザーで壊した実験では、壊した側の下の細胞だけがデンプンをためて分化へ進みました。無事な側の下では、その変化は起きません。

二つの合図の釣り合い: 動画は、上の成熟した細胞から来る分化を促す合図と、中心の細胞から短い距離だけ届く分化を抑える合図の釣り合いという見方を示します。分かれて中心から離れた細胞は抑えを受け取れなくなり、そのまま分化へ進みます。中心に接したままの細胞は分かれ続けます。距離が、伸ばす役と作り替える役を分けています。

位置を決める遺伝子: 中心の位置を決める遺伝子も紹介されます。SCARECROWとSHORT-ROOTは輪切りの向きに、PLETHORAは根の長さの向きに効き、後者を二重に欠いた株では根が短く、分裂組織そのものも小さくなりました。中心だけで働くWOX5を欠いた株でも、中心のすぐ下の細胞がデンプンをためて分化へ進みます。