噴霧角と届く範囲
数と配置
1本のノズルが濡らせる範囲は、角度と距離で決まります。角度が同じでも距離が2倍になれば、同じ量が4倍の面積に広がります。
何を決めるための考え方か
ノズル1本が受け持つ面積を決めるための幾何です。円錐状に広がる噴霧が濡らす直径は、およそ2L×tan(θ/2)。Lは吐出口から根までの距離、θは噴霧角です。面積は距離の2乗で増えるので、単位面積あたりに届く量は同じだけ薄まります。距離を先に決め、そのうえで角度と本数を選ぶと、ノズルの本数と間隔の話につながります。
何を計算・計測するか
測るのは3つです。噴霧角(度)、吐出口から根までの距離、そのときの圧力(MPa または bar)。この3つから覆う直径を計算し、株間と栽培密度で決めた1株あたりの面積と突き合わせます。実測は感水紙を根の位置に置き、濡れた面積の割合を数える。計算した範囲と実際に濡れた範囲は、たいてい一致しません。
つまずくところ
カタログの噴霧角は、測る距離と圧力で変わります。Lee ら 2026 は6区分のノズルを4.0 bar・測定距離500 mmという条件つきで報告していて、条件の書かれていない角度は比べられません。液の粘りや表面張力が変われば角度も狭くなり、水で測った値が養液に当てはまるとはかぎりません。到達の側はスプレー角と到達距離へ。
どこまで確かめられているか
幾何そのものは三角比で、噴霧工学の教科書どおりです。型ごとの角度は Lee ら 2026(閉ループの噴霧栽培でツボクサを育て、レーザー回折で6区分を特性づけた研究。6区分の噴霧角が95〜140度)に条件つきの値があります。入れた霧のうち根に届いた割合を測った公開値は見当たりません。
解説動画: Spray measurement characteristics/nptelhrd
角度は二つある: 講義は、出口にできる液の膜がつくる角と、少し下流で粒になった霧そのものの角を分けます。前者は高速で撮った写真の上で縁がはっきり決まりますが、後者は粒の集まりで外側にもやを引くため、どこまでが霧かが決まりません。噴霧角を測るという話は、この曖昧さをどう数値にするかの話だと始めます。
縁をどう決める: 現場では、二枚の羽根を霧の縁に当てる分度器が使われます。同じ人が繰り返せば値は揃うのに、別の人が測ると縁の取りかたが変わって値が合いません。講義はもう一つ、写真の明るさを中心線から並べ、暗い外側から明るい内側へ変わりかたがいちばん急な点を縁に取るやりかたを挙げます。こちらも道具としては安く済むと述べます。
二か所で測る: 幅と高さを一か所だけ測って角を出すと誤差が大きい、と述べます。噴霧は周りの空気を巻き込んで内側へすぼまるので、縁はまっすぐには広がりません。上に向けても横に向けても同じで、重力のせいではないとも言います。軸方向の二か所の幅とノズルの位置、三点に曲線を当てて角を求めます。
管に受けて量る: もう一つは、霧の下に細い管を並べ、一定の時間だけためる方法です。いちばん多く入った管を頂点として、頂点の十分の一になった位置を縁と決めます。管を円形や扇形に並べるのは、流れの向きと受け口の向きがずれると、受けた量を取り違えるからで、広い角度の霧ほどこのずれが効くと述べます。
何が分かるか: 講義は、これらが霧の中に道具を差し込む測りかたで、置いたぶん流れそのものが変わると断ります。それでも量が多めに出るか少なめに出るかの向きは分かるので、設計の見当には足りると結びます。左右が同じ量になる保証もない、とも述べます。空間の偏りを見る枠は空間のムラをどう測るかと同じです。