株間と栽培密度

数と配置

密度を上げると、1株は小さくなり、面積あたりは増えます。どちらの数字で語るかで、同じ試験の結果が逆向きに読めます。

何を決めるための考え方か

何株を、どれだけ離して置くかを決めるための考え方です。密度を上げると1株が受け取る光と場所が減るので、1株は小さくなります。それでも面積あたりの重さは増えます。1株あたりで語るか面積あたりで語るかで、同じ試験が逆向きに読めます。単位の取り違えは葉物は水耕より多く採れる?でも効いてきます。

何を計算・計測するか

条間と条内株間から株数を出し、収穫では1株の生鮮重・乾物重と、面積あたりの重さ(g/m²)を両方書き残します。Kozai 2013 は人工光型に向く作物の範囲を50〜1,000株/m²、光は100〜300 µmol/m²/秒、栽培期間は30〜60日と置いています。定植日と収穫日も一緒に残すと、あとから比べられます。

つまずくところ

密度を書かずに収穫の重さだけ比べると、何を比べたのか分からなくなります。1株の重さが同じでも、株数が違えば面積あたりは動きます。噴霧栽培では隣の株の根が伸びて霧をさえぎり、奥の根まで届かなくなることがあります。詰まった根は根が絡んでマットになるという形で見えてきます。株間は根域の広さでもあります。

どこまで確かめられているか

密度と収穫の関係を図にした例に Kumaratenna と Cho 2025(Horticulture, Environment, and Biotechnology、人工光型植物工場のレタスで条内株間を変えたPGHチャート)があります。本文は有料で、養液や光の条件までは確認できていません。噴霧栽培で密度を振って測った公開データは見当たらず、棚の段数と段の間隔と合わせて決めることになります。

解説動画: Lecture Crop productivity and plant density/Francisco Villalobos

密度と競争の型: 動画は、栽培密度が生育と収穫に効くのは株どうしの資源の奪い合いによる、と始めます。生育の初めは群落の成長の速さが株数に比例しますが、競争が進むにつれて比例がゆるみ、やがてその時期に使える資源の量だけで決まる段階に入る。密度によらず行き着く先がそろうこの性質を、最終収量一定の法則と呼ぶと述べます。

1株で見るか面積か: 1株の重さの逆数が密度の一次式になるという逆数式から、面積あたりの収穫が導かれます。ヒマワリの例では、孤立した株が1株500 g、密度をいくら上げても上限は1平方メートルあたり500 g。ここに5株を入れて計算すると517 gになり、1株は小さくなるのに面積あたりは増えることが数で見えます。

大小の差は出芽で: 同じ密度でも株の大きさは揃いません。1平方メートルに10株では茎の直径が8〜20 mm、2株では12〜20 mmに分かれました。順位を決めるのは生育のごく初めで、早く出た株ほど資源を先に使って大きくなる。差の元は出芽までの時間のばらつきで、土の水分や温度、播きかたが効くと述べます。

詰めると変わる形: 密度が上がると1株が受ける光と水・養分が減り、赤色光と遠赤色光の比も変わって形そのものが動きます。茎へ配分が寄って倒れやすくなり、豆類の分枝や麦の分げつは減り、葉の老化が早く強く進みます。トウモロコシでは高密度で収穫指数が下がり、収量の曲線が山なりになると示します。

むらは損になる: 自己間引きの話として、密度が高いほど枯死が早く始まり、肥沃なほど強く出ると述べます。欠株は、早い時期にばらばらに起きたぶんなら残った株が埋めますが、遅い時期やまとまった欠けは埋まりません。場所ごとの密度のばらつきは収量を下げると結び、同じ棚で育ちが揃わないの下地にもなる話です。