まず屋根を見る

屋根の形で、建物の格と種類の見当を付ける。

建物の前に立ったら、まず軒先をひと息に見渡して屋根全体の輪郭をつかみます。水平な棟から二方向だけに面が落ち、両端に三角の妻が立ち上がれば切妻造で、日本建築でもっとも一般的な屋根の形式だと説明されています(鹿沼市教育委員会)。棟は同じく水平でも面が四方向へ広がり、妻の三角が見えなければ寄棟造です。方形または長方形の建物を覆い、棟木から四方へ下がる面は前後が台形、両端が三角形になります(コロンビア大学版JAANUS)。水平な棟そのものが無く、四隅の隅木が頂点の一点へ直接伸びて集まっていれば宝形造で、方形の堂のほか六角・八角の堂、塔の最上層にも同じ屋根の原理が使われ、頂に相輪が立つ例もあります(コロンビア大学版JAANUS)。上半分だけが切妻、下半分が寄棟という二段構えなら入母屋造です。

入母屋造は、上部の切妻が建物の中心にあたる母屋を覆い、下部の寄棟はその周りを巡る廂を覆うと説明されています(コロンビア大学版JAANUS)。妻の三角が軒まで届かず、途中で寄棟の面に変わる境目を目で追うと、堂の中に入らなくても、中心の間とその外側がどこで分かれているかまで見当がつきます。

屋根の形だけで建物の格を決めつけないことも大切です。日本では寄棟造は切妻造より格下の屋根とみなされ、重要な建物には入母屋造が好まれてきたとされますが、中国では寄棟造こそもっとも格式の高い屋根として使われました(コロンビア大学版JAANUS)。同じ形でも時代や地域で評価が変わるため、格の見当は指定説明や解説板の記述とあわせて付けます。

屋根面だけを見ていると、見誤りも起きます。本来の屋根の下にもう一段低い庇のような屋根が付く裳階は、外から見える重の数を実際の階数より多く見せます。正面の階段の上だけに架かる小さな屋根は向拝で、建物全体の屋根形式には数えません。軒先を一周たどって四つの形のどれかを決めたあと、張り出しや段差を仕分けると、見上げた輪郭から建物の構えが読めるようになります。

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