正面から全体を見る
柱の間の数・入口の位置・左右の釣り合いの見方。
建物の前に立ったら、屋根を見渡したあとで目線を下げ、軒下の柱をひとつずつ数えます。柱と柱のあいだを「間」と呼び、奈良・平安の建物は仕切りの少ない一室構えが多かったため、正面と側面にある間の数で建物の大きさを示してきました。各間の長さはそろえて作られ、奈良・平安の建物では2m弱が目安だったとされます(JAANUS)。この目安なら、正面三間の建物では柱から柱までの通し幅がおおよそ6m前後になる計算です。間の数がそのまま建物の呼び名に入る例もあり、一間社と三間社では、正面の柱が二本なら一間社、四本なら三間社と数え、向拝の柱まで数えてしまうと間の数を一つ多く読み違えます。柱間の数が奇数なら中央の柱間が軸の上に来て入口を置きやすく、偶数なら軸が柱と柱の継ぎ目に当たるため、入口は片方の柱間に寄りやすくなります。
次に見るのは、数えた間のどこに入口があるかです。阿弥陀堂は正面三間のうち中央の間だけに板扉を構え、左右の間は窓や壁に回るため、入口は数えた間のちょうど真ん中に収まります。阿弥陀堂とは逆に、大社造は内部の中央に立つ心御柱を避けるため、正面二間のうち片側の間にだけ扉が開き、入口が中心から外れます。島根県出雲市の出雲大社本殿は大社造の代表例で、正面に立つと扉の片寄りがすぐ確かめられます。入口の位置を先に決めてから左右を見ると、間が寄っている側がすぐ分かります。
左右の釣り合いを確かめるには、中央の間を軸にして、両側の間の幅と開き方を見比べます。三門の下層は正面五間のうち中央の三間を通路として抜く五間三戸の構えで、左右の端の間は壁に近く閉じ、通路の三間は軸を挟んで対になります。本堂では、外陣にあたる正面側の間が格子戸や蔀戸で広く開き、内陣に近い間は壁と柱が詰まって閉じるため、同じ正面でも間ごとに開き方が変わります。数えた間の中心と、開いている間の範囲を重ねて見ると、正面だけで建物の構えの大きさが読めます。
柱間を数えるときは、正面の柱がすべて視界に入るまで後ろへ下がります。近づきすぎると手前の柱間しか数えられず、入口の寄りや左右の釣り合いも読めなくなります。
