一間社と三間社
本殿の形
一間社と三間社は、本殿の正面の柱間が一つか三つかで呼び分けた、大きさの呼び名です。
形
身舎の正面で、柱と柱の間がいくつあるかを数えた言い方です。間が一つなら一間社、三つなら三間社で、流造では一間社から十一間社まであり、この二つが最も多いと英語辞典JAANUSは書きます。奈良県奈良市の円成寺白山堂は一間社春日造、山梨県韮崎市の武田八幡神社本殿は三間社流造です。一間は六尺の長さではありません。木割書の一間社の設計法を集めた費迎慶らは、平面の寸法を柱径で決める型を19、垂木の枚数で決める型を38数えました。
見分けの決め手
身舎の正面に立つ柱を数え、間の数に読み替えます。柱が二本なら一間社、四本なら三間社で、三本なら二間社です。前へ張り出した向拝の柱は数えません。向拝の二本を足すと、一間社が三間社に化けます。香川県坂出市の神谷神社本殿は、指定説明が身舎を円柱、向拝を方柱と書くので、柱の断面でも二つを分けられます。柱間の幅は均等とは限りません。庄内藩の木割書を調べた永井康雄らの報告では、三間社の中の間が脇の間より広く取られます。
取り違えやすい相手
読み違えは、外側の柱を数えるところから起きます。向拝の柱間を足した三間社と、本殿覆屋の柱間を本殿と見た三間社です。京都府宇治市の宇治上神社本殿は、覆屋が桁行五間で、中の内殿は各一間社流造です。覆屋の内側に、屋根を持つ別の社殿が立っていないかを見ます。滋賀県野洲市の大笹原神社本殿は桁行も梁間も三間の入母屋造で、指定説明に三間社の語はありません。
立つ位置
正面に立ち、屋根ではなく床の上の柱を見ます。斜めからでは奥行きの柱が重なり、本数が読めません。柱の根元が並ぶ高さに目線を合わせると、身舎の柱と向拝の柱が前後に分かれます。柱間の呼び名は社殿の格を表すものではなく、大きさを言うための数え方です。兵庫県たつの市の賀茂神社には、三間社の本殿のほか、二間社と一間社の摂社・権殿があり、間の数の違いを見比べる手がかりになります。
出典
- 公的機関 文化庁 神谷神社本殿(国指定文化財等データベース)
- 公的機関 文化庁 賀茂神社 本殿(文化遺産オンライン)
- 公的機関 文化庁 宇治上神社本殿(文化遺産オンライン)
- 公的機関 文化庁 大笹原神社本殿(文化遺産オンライン)
- 公的機関 文化庁 圓成寺 白山堂(文化遺産オンライン)
- 公的機関 文化庁 武田八幡神社本殿(文化遺産オンライン)
- 資料・英語 JAANUS(アツミ国際奨学財団が構築、コロンビア大学メディアセンターが運営) nagare-zukuri 流造(JAANUS 日本建築・美術用語の英語辞典)
- 資料・英語 JAANUS(アツミ国際奨学財団が構築、コロンビア大学メディアセンターが運営) ikkensha-zukuri 一間社造(JAANUS 日本建築・美術用語の英語辞典)
- 論文 永井康雄・飯淵康一(東北大学)(1997) 庄内藩大工棟梁小林家旧蔵の慶長期以前の木割書に見られる三間社について
- 論文 費迎慶・永井康雄・飯淵康一(東北大学)(2007) 神社本殿の設計方法に関する研究 : 木割書にみられる一間社の平面決定法について
