本殿覆屋
境内の建物と構え
本殿覆屋は、内側の本殿を風雨や雪から守るため、外側からすっぽり覆って架けた建物です。
形
本殿を風雨から守るために、外側から架けた建物です。内側には床も屋根も別に持つ社殿が、流造などの形で独立して立ちます。東京都西東京市の田無神社は、本殿が江戸期の姿のまま残るのは、古くから覆われて雨風や日光から守られてきた結果と説明します。京都府向日市の向日神社の指定名称は幣拝殿及び本殿覆屋、田無神社は覆殿(おおいでん)と呼び、呼び方も表記もまだ定まっていません。
見分けの決め手
外側の建物の中を、格子越しにのぞきます。内側にもう一つ屋根を持つ社殿が見えれば、外側は覆屋です。中の社殿は一棟とは限らず、京都府宇治市の宇治上神社本殿は規模の違う内殿三棟を、熊本県人吉市の岩屋熊野座神社は本殿三棟を、それぞれ一つの覆屋に納めます。外側の造りは一様ではなく、茨城県の吉沼八幡神社の覆屋は、方柱に頭貫と台輪を組み、獅子の掛鼻を付けており、県の解説は「この種のものとしては本格的な造り」とします。
取り違えやすい相手
覆屋の中に納まる本殿そのものと、拝殿が紛れます。屋根の形と葺き材を、外側と内側で比べます。熊本県山江村の山田大王神社では、覆屋が切妻造の茅葺、本殿が三間社流造の板葺と、外と内で屋根が別です。建立の年も違い、本殿は天文15年(1546)、覆屋は安永10年(1781)の銘札を持ちます。壁で閉じているかは決め手にならず、鳥取県智頭町の向山神社拝殿及び覆殿は、覆殿の軸部が吹放しです。
立つ位置
正面の格子の前に立ち、目を隙間の高さへ合わせます。離れると内殿が影に沈み、寄りすぎると格子の桟で視界が切れます。外の光が内殿の檜皮葺や板の屋根へ回り込む時間帯なら、内側の屋根の反りまで見えます。内部へは立ち入らず、外から見える範囲で足ります。長野県長野市の玉依比賣命神社は拝殿の奥から、京都府宇治市の宇治上神社本殿は正面の玉垣越しに、中の社殿が見えます。
出典
- 公的機関 文化庁(文化遺産オンライン) 宇治上神社本殿
- 公的機関 文化庁(文化遺産オンライン) 岩屋熊野座神社覆屋
- 公的機関 文化庁(文化遺産オンライン) 山田大王神社 本殿 覆屋 拝殿
- 公的機関 文化庁(文化遺産オンライン) 向日神社幣拝殿及び本殿覆屋
- 公的機関 文化庁(文化遺産オンライン) 向山神社拝殿及び覆殿
- 公的機関 茨城県教育委員会 吉沼八幡神社本殿・覆屋
- 資料 田無神社 本殿について 田無神社の文化財
