幣殿

境内の建物と構え

幣殿は、拝殿と本殿のあいだに立って前後の二棟をつなぐ、幣帛を供えるための建物です。

形

拝殿と本殿のあいだに立ち、前後の二棟をつなぐ建物です。英語の建築用語辞典 JAANUS は、幣帛(紙や布の供物)を供え、ときに祈祷を唱える場だと説明します。山梨県富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社拝殿及び幣殿は、桁行四間・梁間一間の幣殿が拝殿の切妻造とは別の屋根を持ち、正面で拝殿に接続します(重要文化財・1739年頃の造営)。

見分けの決め手

建物の横手へ回り、棟の数と屋根の向きを見ます。棟が三本並び、真ん中の棟がいちばん低く、向きも違えば、その低い棟が幣殿です。高知県南国市の土佐神社は、幣殿だけ背面が切妻造の屋根を持ち、福島県相馬市の八幡神社は幣殿だけ両下造で、いずれも本殿・拝殿とは別の屋根形です。正面からは高さの差が出ないので、横位置が要ります。国指定文化財等データベースでは、こうした例が「本殿、幣殿及び拝殿」のように一つの名称でまとめて記されます。

取り違えやすい相手

権現造の石の間が近い相手です。別棟として切り離せるかを見ます。石の間は本殿と拝殿を一続きの屋根で結び、三棟を離すと屋根が成り立ちません。幣殿は前後と棟を分けて建つ例が多く、拝殿だけを建て替えられます。英語の建築用語辞典 JAANUS は、幣殿が独立の棟・拝殿に付く棟・拝殿と本殿を結ぶ通路のいずれの姿も取ると説明し、権現造との境目は資料によってまだ揺れています。

立つ位置

参道を外れ、社殿の横手が見える位置へ回ります。正面からは拝殿の屋根に隠れ、幣殿は一片も見えません。横から屋根の稜線を追い、山と谷を数えるのが確かで、谷が一つなら二棟、二つなら三棟です。垣が高い境内では、随身門の下や石段の途中など、視点の上がる場所を探します。山梨県富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社、高知県南国市の土佐神社のように横手へ空きのある境内では、棟の並びと屋根の向きの違いがそのまま読めます。

出典

  1. 資料・英語 JAANUS(アツミ国際奨学財団が構築、コロンビア大学メディアセンターが運営) heiden 幣殿(JAANUS 日本建築・美術用語の英語辞典)
  2. 公的機関 文化庁 北口本宮冨士浅間神社 拝殿及び幣殿(文化遺産オンライン)
  3. 公的機関 文化庁 土佐神社本殿、幣殿及び拝殿(国指定文化財等データベース)
  4. 公的機関 文化庁 八幡神社 本殿、幣殿、拝殿(文化遺産オンライン)