月暈
空そのものが光る
月のまわりに、大きな光の輪がかかります。上空の巻層雲に浮かぶ氷の結晶が月の光を屈折させたもので、街明かりの下でも見えます。
何が起きているか
上空の巻層雲をつくる氷の結晶が、月の光を屈折させてできる輪です。気象庁の「気象観測の手引き」はこれを大気光象の「かさ」に分類し、月の回りにできるものを「月のかさ」と呼んで、巻層雲は普通この現象を生じると記しています。六角柱の氷晶を通る光が約22度曲げられるため、輪の半径はいつもほぼ同じ大きさになります。
いつ、どちらの空か
巻層雲が空を覆い、月が明るい夜です。薄い雲がかかった夜に出るので、晴れ渡った夜には現れません。光の量が要るため満月の前後が中心で、細い月では輪ができるほどの光が届きません。どちらの空かは月の居場所で決まり、輪はその月を囲んで出るので、月さえ見つければ探す向きに迷いません。淡い天体と違い、市街地の空でも見えます。天気が下り坂に向かい、巻層雲が西から広がってくる夜に機会が来ます。
目にはどう見えるか
半径およそ22度の輪が、月を囲みます。腕を伸ばして手を開くと、親指から小指までがほぼ22度なので、輪の大きさの見当がつきます。輪の内側は外より暗く、内縁がかすかに赤く、外側は白く見えます。色は淡く、写真ほどはっきりしません。月のすぐ近くに出る半径数度の光冠は別の現象で、こちらは水滴によるものです。
見のがす条件
雲が厚くなれば、月ごと隠れます。巻層雲より低い雲が重なると輪は消え、雨が近い夜はそのまま曇天へ変わります。輪の直径は40度を超えるので、双眼鏡の実視界には収まらず、肉眼で眺めるものです。街灯が視野に入ると目が眩んで淡い輪が沈むため、月と灯りを遮る位置に立つと差が出ます。月そのものを軒先や電柱の陰に置くと、離れた輪の側だけが視野に残ります。
どのくらいの間隔で起きるか
月に数回の機会があります。巻層雲は温帯低気圧の前面に広がるので、天気が崩れる前の夜に出やすく、月が明るい満月の前後一週間ほどと重なった夜に限られます。低気圧が次々に通っても、月が細い週に当たった前線では輪は立ちません。「かさが出ると雨」という言い伝えは、巻層雲が低気圧の接近を告げることに根拠があります。年間では長雨の前の時期に数が増え、同じ空が光る現象でも黄道光のように暗い空へ出かける必要はありません。