低緯度オーロラ

空そのものが光る

北の低い空が、白っぽくぼんやり明るくなります。写真にはマゼンタの色が写りますが、肉眼で色まで分かることはめったにありません。

何が起きているか

巨大な磁気嵐でオーロラ帯が低い緯度まで広がり、日本の北の空が淡く染まる現象です。国立極地研究所は2024年に、市民が撮った179点の写真をベイズ推定で解析し、色がマゼンタで、上端が高度1000kmを超えていたことを示しました。酸素原子の赤い光に窒素分子イオンの青い光が加わったために、マゼンタになります。

いつ、どちらの空か

磁気嵐が起きている数時間だけで、いつ来るかは前もって決まりません。方角は北の、地平線に近い低い空です。緯度の高い北海道が有利ですが、大きな嵐では本州からも記録されています。情報通信研究機構が宇宙天気の予報を出しており、磁気嵐の規模が上がった夜に北の空を確かめる、という順序になります。

目にはどう見えるか

肉眼では、白っぽい淡い明るみにしか見えません。カメラは露光を重ねて色を積みますが、暗い場所の目は色を感じにくく(暗所視)、写真のマゼンタは目には出ません。カーテンのような形や動きも、日本の緯度では期待できません。北の空の一部がうっすら明るい、という程度の差を見分けることになります。

見のがす条件

北の空に街明かりがあれば、それで終わります。淡い光が低空にしか出ないため、その方角に都市があると光害に埋もれます。月明かりでも同じく消えます。北の地平線まで見通せない場所では、山や建物の陰に入って明るみそのものが視界に届きません。夏の薄明のころに北の空へ出る夜光雲は青白く輝いて見え方が近いので、時期と色で分けます。曇れば数時間の窓はそのまま閉じます。

どのくらいの間隔で起きるか

太陽活動のおよそ11年の周期に沿って、極大期の前後に集まります。磁気嵐そのものは極大期でも大きなものが年に数回で、日本から見える規模はさらにまれです。機会のある年はまとまって訪れますが、その年でも夜ごとに出るわけではありません。極小期には何年も起こりません。個々の嵐は太陽面の爆発から1日から3日ほど遅れて届くため、爆発の知らせを見た晩から二、三日を、北の空に構えておく範囲にできます。