チケットの高額転売

売り方の罠

定価超えで売ることが禁じられる場面

どんな手口?

興行のチケットを定価より高く売って差益を取る形です。興行主が同意していない有償譲渡は、対象となるチケットについて法律で禁止されており、違反は罰則の対象になりえます。買った側も入場を断られることがあり、売り手と買い手の両方が損をする構造です。行けなくなった分を譲る行為が、すべてだめという意味ではありません。

見分け方のサイン

「定価より高く売れる」「抽選に多めに申し込んで余りを流す」という誘いや、DMで買い取り価格をいきなり提示してくる相手が典型です。公式の譲渡窓口があるのに個人間で現金だけ先に求められる、名義や座席を伏せたまま話が進む。こうした場面では、法にも規約にも触れる側へ自分が立たされています。

こうなったらどうするか

行けなくなったら、まず公式のリセールや同行者への定価譲渡を探します。窓口が無いときも定価を超えない範囲にとどめるのが基本です。すでに高く売った、あるいは高く買わされたときは、やりとりの記録を残して相手に連絡し返金を求めます。副業の柱にはできない売り方なので、不用品のフリマ出品のような続く形へ切り替えるほうが早いです。

相談先

買った側の被害は消費者ホットライン188と国民生活センターが相談の入口です。代金を払ったのに券が届かない詐欺の疑いなら警察相談専用電話#9110へ。対象となる興行や罰則の範囲は改正されることがあるため、ここに書いたことも執筆時点の理解として扱い、公的機関の最新の案内で確かめてください。

解説動画: 【法学部】チケット転売はどう対策されているのか【ゆっくり解説】/法学部のゆっくり解説

全部は禁じない、という作り: SNSでの高額転売が広がった2010年代後半に、既存の法律では手が届かないという声が強まり、2019年6月にチケット不正転売禁止法が成立した。大型の国際大会を控えていたことも後押しになっている。ただし転売そのものには経済的な合理性があるという前提に立つため、全面禁止にはせず、刑罰の対象になる範囲を絞る作りになっている。

対象になるチケットの三条件: 罰則がかかるのは特定興行入場券だけだ。同意のない有償譲渡は禁止だとチケットに書いてあること、日付と入場者または座席が指定されていること、購入時に購入者が確認されていること——この三つを全部満たすものを指す。そのうえで不正転売は、主催者の同意なく反復継続して定価を超える額で譲る行為と定義されている。

以前は三つの法律で追っていた: この法律の前は迷惑防止条例・古物営業法・詐欺罪で対処していたが、どれも穴があった。条例が効くのは公共の場所での購入に限られ、ネットでの購入は当たらないと解釈される。古物営業法は人手を渡った品が対象なので、正規の販売元から直接買った分には届かない。詐欺罪は購入時に転売目的があった証明が難しい。

刑罰にならなくても責任は残る: 規約に反して譲られたチケットは無効になり、それで入場するのは原理上不正入場にあたる。主催者は入場者への対応に手を取られるので、民法上の不法行為として損害賠償を負う可能性がある。同じ理屈はファン同士の譲り合いにもかかる。買った側も知らなかったという言い分は通らないし、ファンクラブ除名などの措置もありうる。

主催者側の対策とその限界: 対策は二方向ある。ひとつは公式のリセールで、主催者や委託を受けた事業者が正規の売り直しの場を用意し、出品者は実質的に払い戻せる。もうひとつは締め出しで、購入時に顔写真を登録し、入場時に顔認証する公演もある。登録後は写真を変えられないので転売しても入場できないが、機材と運用の負担が重く、導入できる公演は一部にとどまる。