通訳
資格・専門を活かす
話された言葉をその場で別の言語に移す仕事
どんな仕事?
相手の発言を区切って訳す逐次と、聞きながら訳す同時通訳があり、必要な訓練がまるで違います。商談、工場の見学、医療機関の窓口、オンライン会議など場面は広く、語学力と同じくらいその分野の予備知識が精度を決めます。文章を扱う翻訳とは別の技能だと考えてください。
仕事の流れ
依頼が来たら日時と場所に加え、参加者と目的、資料の有無を確かめます。事前に用語集を作り、当日は30分前に入って機材と立ち位置を見ます。本番では発言の意図を落とさずに訳し、終わったら出てきた用語を自分の資料へ足します。聞いた内容は口外しない前提で動く仕事です。
単価と収入の目安
半日や1日の拘束で見積もるのが一般的で、半日で2〜4万円前後の提示を見かけますが、言語と分野で差が大きいのが実情です。同時通訳はさらに上がる一方、準備に丸一日取られることもあります。指名で回るまで数年はかかる世界で、最初のうちの収入は当てにできません。
最初の1件までにやること
語学力だけでは足りず、訳して出す訓練が要ります。逐次のメモ取りを繰り返し、講座や勉強会で自分の位置を確かめます。入口としては地域の国際交流や見学の通訳から受け、録音を聞き返して直す人が多いです。語学レッスンで収入を支えながら経験を足していく道もあります。
向かない人・つまずくところ
訳し間違いがそのまま相手の判断を変える仕事で、背負う責任は決して軽くありません。医療や法務では誤訳が生命や権利に及ぶため、研修を受けていない分野は断る勇気が要ります。依頼は平日の日中に集中しやすく、土日しか動けないと受けられる案件はかなり限られます。
解説動画: 逐次通訳ノートテイキングのやり方解説!【ノート解説付き】#1/医療通訳士 ノラス
書くことより理解が先: 逐次通訳のノートテイキングに確立したやり方は無い、と最初に断ったうえで話が進む。一番大事なのは話の内容を理解すること。整理して訳すには、まず分かっていないと始まらない。話されたことを全部書き取るのは無理なので、見返したときに内容を思い出せるキーワードだけを拾う。
落としてはいけない4つ: 必ず書くのは数字、固有名詞、略称、そして知らない単語。医療の通訳なら薬の用量、患者の年齢、症状が続いた期間と数字が多く出るので、単位まで一緒に書き取る。略称は「尿路感染」を英語の頭文字3文字で置くように、その分野で通じる形を持っておく。聞き覚えのない単語は直後に忘れるので、意味が分からなくても音のまま残す。
自分の記号を手に覚えさせる: 自分なりの略字や記号でメモを取れるようになれば、ノートテイキングは確実に上達する。ただし作っただけでは見返しても意味が取れないので、テレビや映画を見ながら書く練習で、手が自然に記号を出すところまで慣らす。挙げていた例は、症状はSx、痛みは丸で囲んだP、悪化は上向きの矢印、強さは下線、体の何か所も痛むなら棒人間に痛む場所を線でつなぐ。
時間は縦線一本で表す: 何日前に症状が出た、何週間後に再検査、といった時間のやり取りは数字が絡む。話し手は縦線を1本引いて現在とし、左を過去、右を未来と決めている。2日前なら左に2d、1週間後なら右に1w。秒・分・時間・日数の単位も、あらかじめ略語を決めておく。
訓練が間に合わないとき: 実際の医療現場では医師が何分も一方的に話し続けることは少ないため、メモを取らずに訳す場面も多いという。試験前で訓練が間に合わず、書くほうに気を取られて聞き取りが疎かになるなら、いっそ理解に集中し、数字や症状など落とせない所だけ書くにとどめるのも一つのやり方だと勧めている。