the

超頻出

theは、thが/ð/で規則どおりに読める一方、eの読み方が規則から外れ、次に来る音によって/ðə/(ザ)と/ði/(ジ)を切り替える、この語だけの決まりを持つ語です。the bookはザ、the appleはジで、the hourはhを読まないのでジになります。Peter Norvigの集計によると、英語で最も出現頻度の高い語で、全体の7.14%を占めます。

なぜ規則外?

th は /ð/ でルールどおりですが、e の読み方が規則から外れます。しかも次に来る音で読み方が変わるという、この語だけの決まりを持っています。Etymonline によると、the は古英語の指示代名詞 þe から出て、950年ごろ以降に se・seo・þæt に取って代わりました。th- のつづりは se が th- の形に引かれたものと考えられています。

読み方

次が子音なら /ðə/(ザ)、母音なら /ði/(ジ)。the book はザ、the apple はジで、つづりではなく音で判断します—— the hour は h を読まないのでジです。Weisser の表は強調では弱形になりにくいとします。Gaskell らの実験では、ザかジかの選び方に後ろの語の音・つづり・強勢が影響し、8歳と10歳の子どもでは年齢が上がるほど弱めない形(ジ)が増えました。

使われ方

英語で最も出現頻度の高い語で、Peter Norvig による Google Books の単語数の集計では、全体の7.14%を占めます。普段は弱形で「ざ」とも言えないくらい軽く発音されます。Fox Tree と Clark の会話の分析では、ジ(弱めない形)の81%は直後に話の中断が続き(ザは7%)、言いよどみの合図としても使われていました。

出典

  1. 資料・英語 Etymonline(Douglas Harper) the
  2. 資料・英語 Martin Weisser Strong & Weak Forms
  3. 論文・英語 Gaskell MG, Cox H, Foley K, Grieve H, O'Brien R(2003) Constraints on definite article alternation in speech production: to "thee" or not to "thee"?
  4. 資料・英語 Peter Norvig(2012) English Letter Frequency Counts: Mayzner Revisited or ETAOIN SRHLDCU
  5. 論文・英語 Fox Tree JE, Clark HH(1997) Pronouncing "the" as "thee" to signal problems in speaking

解説動画: the のザとジを分けているのは文字ではなく音/Kevin's English Room / 掛山ケビ志郎

音で決まる: 学校で習う「母音字の前はジ」という文字で見分けるルールは正確ではないとしている。アメリカでは次の語の音が母音かどうかで判断する、というのが基本。hour は h を読まないのでジ、university は「ユ」で始まるのでザ。音で考えれば、例外として覚えさせられたものが例外でなくなる。

ルールを超えるジ: 強調したいときは、次がどんな音でもジになる。I saw the president なら「あの大統領を」という特別感が出る。最上級でも the best をジにすると、最上級よりさらに強い意味になると紹介している。言いよどんで伸ばすときのジも同じで、次に何が来るかを選ばない。

どちらでも聞く語: ルールでは決まらず、感覚でしかない語がある。apple や ocean はどちらも自然で、ディズニー『モアナ』でも The ocean is a friend of mine をザと言っている場面がある、と実例を挙げる。逆にumbrella はジしか聞かず、the sun はザしか言わない—— 太陽は「あの太陽」と言う場面が無いから、と話している。

迷ったときは: 次の語の音が母音ならジ、と決めておけば大きくは外さない。F で始まる略語は F を「エフ」と読むので母音の音で始まり、見た目に反してジになる—— アルファベット1文字は名前と音がずれるものが多い。間違えても意味は伝わる軽いミスで、そこで詰まるより滑らかに話すほうが大事としている。