上がり湯で流すと成分が落ちる?
入りかたの誤解
掲示の文言には但し書きが付いています。温泉成分を洗い流さずに拭き取ると書いたあとに、肌の弱い人や刺激の強い泉質では洗い流した方がよい、と続きます。
よく言われること
上がり湯で流すと温泉の成分が落ちてしまうので、湯から出たら流さずにタオルで拭くのが作法だ、という一律の言い方です。どの湯でも、どんな肌でも当てはまる決まりごととして伝わっていて、出るときのすすぎをしている人のほうが作法を知らないように見られることもあります。掲示のどこにそう書いてあるかは、たいてい確かめられていません。
実際はどうか
環境省の掲示基準(平成26年7月1日 環自総発第1407012号)の「入浴後の注意」は、温泉成分を温水で洗い流さずタオルで拭き取ると書いたうえで、但し書きを付けています。肌の弱い人、刺激の強い泉質(例えば酸性泉や硫黄泉等)、塩素消毒等が行われている場合は洗い流した方がよい、という一文です。前半だけを取り出すと、条件付きの文が一律の作法に変わります。
なぜ広まったか
覚えられるのは前半だけです。一行で言い切れる作法の形になっているうえ、掲示そのものは脱衣所や浴室の入口にあり、上がってから読み返す機会がありません。但し書きは自分に当てはまるかを判断させる文なので、口伝えで運ばれるうちに落ちます。浴槽水の消毒をしているかどうかも、掲示の別の欄を見なければ分かりません。
どう言えば正しいか
掲示にはこう書いてある、というところまでを伝えます。前半と但し書きを一組にして、自分の肌の状態、掲示の泉質欄、消毒の有無の三つで分かれると言えば、文言のとおりになります。消毒をしているかどうかは温泉の利用状況の表示で確かめられる事実で、施設の良し悪しの話ではありません。流すか流さないかも、作法ではなく条件の話として置けます。