飛んでいる鳥を見分ける

翼の形・羽ばたき・飛ぶ高さの見方。

飛んでいる鳥は、色より先に形と動きで見ます。見る順は、翼の形、羽ばたきの間合い、飛ぶ線、飛ぶ高さの四つです。止まっている鳥の見分けに使う色は、日なたと日陰で同じ羽でも違って見えるので、最後に確かめるおまけと考えます(カリフォルニア州立大学チコ校の名誉教授 Lederer の解説)。猛禽が次々に通る渡りの場面では色や模様が見えにくく、体の形と飛び方が手がかりの中心になります(Audubon、2021年)。

最初に基準にする1種を決めます。米国の猛禽の見分けでは、よく見るアカオノスリを隅々まで覚え、ほかの種をそれと比べる練習が勧められています(同じ Audubon の記事)。身近な空なら、トビが基準になります。羽ばたかずに輪を描いて上がる飛び方と尾の形を覚えておくと、トビとノスリで迷ったときに、尾の後ろ端の切れ込みの有無に目が向きます。帆翔と滑翔が入れ替わるあいだに尾の形は何度も変わるので、1回の見え方で決めず、尾が広がる瞬間を数回待ちます。

翼の形は、幅と先の形を分けて見ます。風切羽の先が指のように分かれて見える幅の広い翼は、ハシブトガラスのようにゆっくり羽ばたく大きな鳥の翼です。ツバメは細い翼と深く切れ込んだ尾で、空中で急に向きを変えます。翼と尾羽は、見えた形を別々に書き残します。

羽ばたきの間合いと飛ぶ線は、体の大きさと結びついています。小型から中型の鳥には、羽ばたきの合間に休む飛び方が多く、翼をたたんで休む型と、翼を広げて滑る型があります。翼をたたむ型が使えるのは体重0.3kgほどまでの鳥で、丸い翼の小鳥は広げて滑る休み方をしません(Tobalske 2010 のレビュー)。翼をたたむたびに体が沈むので、飛ぶ線は上下の波になります。電線から電線へ波を描くヒヨドリ、波打つたびに一声出すハクセキレイ、次の幹へ短く移るコゲラは、どれもこの型です。ヒヨドリとムクドリで迷ったら、波形か直線かを追います。大きな鳥は波を描かないので、羽ばたきの速さと滑る時間の長さで見ます。

海と港の鳥は、羽ばたきの遅さで大きさの見当を付けます。セグロカモメは羽ばたきが遅く滑空の時間が長く、ユリカモメは軽く上下して飛びます。カワウは首と脚を伸ばした一直線で飛び、群れは斜めの列やゆるいV字になります。

飛ぶ高さも手がかりになります。米国で3種のツバメの仲間に小さな高度計を付けた研究では、ツバメと同じ種の1日の平均の高さは34m、最も高くて273mで、ほかの2種よりはっきり低く飛んでいました(Dreelin ほか 2018。1種に4〜6羽の小さな調査)。空の低い所を虫を追って旋回する細い翼の鳥は、まずツバメの仲間を考えます。

やりがちな失敗は、一瞬見えた色で名前を決めること、尾の形を1回の見え方で決めること、波形か直線かを見ないまま図鑑をめくることです。飛ばれた後は姿を追い続けず、翼・羽ばたき・線・高さの四つを一行ずつ書きとめます。

この節に出てくる図鑑の項目

出典