テントの中で火を使う危険と、換気・警報器の考え方。
一酸化炭素中毒を防ぐ段取りは、出発前の寝具選びから始まります。夜の冷え込みには燃やす道具で暖を取らず、気温に合うマミー型シュラフやクローズドセルマット、十分な服で備えます(米国疾病予防管理センター)。寝ている人は中毒の最初の症状に気づけません(同)。米国では、閉め切ったテントで暖を取るためにプロパンのストーブを燃やした4人と、外で調理したあとの炭火のグリルをテントへ入れた2人が、どちらも朝までに亡くなりました(同)。韓国でキャンプ中に中毒になった72人の記録でも、原因はテントを暖めるためのガスストーブと炭で、最も多い月は冬ではなく5月でした(Kimら、2016年)。春や秋の冷える夜にも、同じ備えが要ります。
調理は、テントの外か、四方の開いたヘキサタープの下でします。テントの前室や閉じたスクリーンタープの中でも火を使いません(ポウィス保健委員会)。OD缶と同じイソブタン・プロパン燃料のストーブ3台を3シーズンテントで15分燃やした実験では、一酸化炭素の濃度が時間とともに上がり、上がり方は台ごとに違いました(Thurmanら、2023年)。手持ちのシングルバーナーなら大丈夫とは、使う前に判断できません。同じストーブとホワイトガソリンでも、風を通しにくい4シーズンテントでは、最も高い濃度が3シーズンテントの2倍を超えました(Bettenら、2013年)。冬用の閉じたテントほど、一酸化炭素はたまります。入口を開けておいても、一酸化炭素がたまるのは防げません(米国疾病予防管理センター)。明かりも同じで、テントの中ではガスランタンやオイルランタンを灯さず、LEDランタンとヘッドライトを使います(同)。
炭と熾火は、炎が消えてからも一酸化炭素を出します。くすぶる炭は大量の一酸化炭素を出し(米国疾病予防管理センター)、調理を終えたバーベキューの炭も出し続けます(ポウィス保健委員会)。食べ終えた炭は火消し壺に移して幕から離れた外に置き、焚き火台を暖房の代わりに前室へ寄せません。韓国の記録では、病院に運ばれた患者の8割余りが、炭から一酸化炭素が出ることを知りませんでした(Kimら、2016年)。
一酸化炭素の警報器は、キャンプで使える品を選び、説明書どおりに使えば備えの1つになります。ただし警報器は、燃やす道具を幕の外に出す決まりの代わりにはなりません(ポウィス保健委員会)。標高の高いキャンプ場では、中毒の危険が高まります(米国消費者製品安全委員会)。
症状は頭痛・めまい・脱力・吐き気・嘔吐・眠気・混乱で、風邪やインフルエンザと取り違えやすく、気づくのが遅れがちです(米国消費者製品安全委員会)。眠気を中毒の症状と思わずに眠ってしまい、吸い続けて重くなることもあります(MSDマニュアル家庭版)。同じテントにいた全員が同時に風邪のような具合の悪さを訴えるときは、一酸化炭素を疑います(同)。疑ったら、燃えている器具を止め、外の空気の中へ出て、すぐに医療機関に相談します(ポウィス保健委員会)。
出典
- 公的機関・英語 米国疾病予防管理センター(CDC)(1999) Carbon Monoxide Poisoning Deaths Associated with Camping -- Georgia, March 1999(MMWR 48(32))
- 公的機関・英語 米国消費者製品安全委員会(CPSC) Portable Heaters & Camping Equipment
- 公的機関・英語 ポウィス保健委員会(NHS ウェールズ) Be Carbon Monoxide aware when camping – safety tips for happy camping
- 論文・英語 Thurman JT, Leavitt R, Buchanan JT, Shreffler J, Huecker MR, Early T(2023) Carbon Monoxide Levels Produced by Propane/Isobutane Canister Stoves inside a Tent
- 論文・英語 Betten DP, Castle DJ, Bales LL, Hughes MJ(2013) Effect of fuel type on carbon monoxide accumulation in tents of varied design
- 論文・英語 Kim YJ ほか(2016) Carbon monoxide poisoning during camping in Korea
- 資料 Gerald F. O'Malley・Rika O'Malley(査読 Diane M. Birnbaumer)(2025) 一酸化炭素中毒(MSDマニュアル家庭版)











