前鋸筋
上半身(前面)
肋骨から肩甲骨を支えるのこぎり型
どこにある?
肋骨の側面からのこぎりの歯のように何本にも分かれて起こり、脇の下を回り込んで肩甲骨の内側縁の裏へ付きます。脇の下からあばらにかけて、指を斜めに並べたような筋の連なりとして見え、体脂肪が落ちている人ほど輪郭がはっきり出ます。
はたらき
肩甲骨を肋骨に貼りつけたまま前へ滑らせ、腕を頭上まで上げるときに肩甲骨を上方回旋させる要になります。弱いと肩甲骨の内側が浮く翼状肩甲になり、頭上へ挙げる動作で肩を痛めやすくなります。肩甲骨を寄せる菱形筋とは綱引きの関係です。
鍛え方
腕立て伏せの一番上でさらに背中を押し切るプッシュアッププラスや、プランクの姿勢で肩甲骨を開閉する動きが効きます。10〜15回×2〜3セットと回数寄りで組み、肩をすくめず肩甲骨だけを前へ送る感覚を最優先にしてください。
ストレッチ
壁に手をついて肩甲骨を寄せ、胸を開くと前鋸筋側がゆるみます。20秒を2回で十分です。硬さより弱さが問題になりやすい筋肉なので、脇の下をボールで軽くほぐしてから上の運動で使い直すと目覚めやすくなります。呼吸が浅い人にも関係します。
解説動画: 前鋸筋を狙う腕立て・ショルダープレス・チューブ種目/筋肉あるある
前鋸筋の位置と働き: 前鋸筋は胸部から腹部にかけてノコギリ状に見える筋肉で、体全体の迫力にかなり貢献する。肋骨の一つ一つの中央部分から始まり、広背筋の下をくぐるような格好でついている。最も強い作用は肩甲骨の外転で、遠くのものを取るために腕を伸ばすような動きでよく使われる。ボクシングのパンチと同じ動きであることからパンチャーズマッスルとも呼ばれる。ほかに肩甲骨の上方回旋・下方回旋の働きも持つ。
変形の腕立て伏せ: 通常の腕立て伏せより少しだけ前に手をつき、体を持ち上げる局面で地面を強く押して肩甲骨を外転させ、背中を丸めて浮かせる。下ろすのは深くなくてよい。手は正面から見て逆ハの字につくと前鋸筋の活動が高まると研究で示されている。掌底で自分を押すようにし、その際に肩を内側に回すと腕がより遠くに出て外転が起こりやすい。難しければ膝をついて動きを練習するのも有効。
肘をついて行うバージョン: 同じ動きを肘をついて行うやり方も有効だとする。腕を曲げた形だと深く下ろしても胸に効きにくいため、前鋸筋をぐっと収縮させてから伸ばしていく使い方ができる。いったん沈み込んで肩甲骨を寄せて力をため、そこから地面を押して背中が丸まるところまで上げる。腕立てと肘つき、やりやすい方を選べばよい。
可動域を狭くしたショルダープレス: 前鋸筋は物を前や上に押す動作で使われるため、ベンチプレスやショルダープレス、プルオーバーを行わないと発達が弱くなることがある。狙って鍛える場合は上20センチほどの範囲だけでバーベルを扱う。まず肩甲骨を下に下ろし、そこから肩甲骨を上に移動させる力だけで押し上げる。シュラッグのように肩がすくまないよう注意する。下ろすのはおでこの上あたりまでで、それ以上下ろすと肩の関与が大きくなる。
チューブを使ったやり方: チューブを何かに引っかけ、パンチをするように腕を押し出す。最後にしっかり奥まで腕を伸ばすことがポイントで、その瞬間に前鋸筋へ最も負荷がかかる。体をひねってもよいが、趣旨は肩甲骨の外転にあるので、それができていれば他は好きなフォームで問題ないとしている。下から上へ向かって押し出すやり方もあり、こちらは二番目の働きである上方回旋に負荷をかける形になる。