大胸筋

上半身(前面)

胸板の厚みをつくる扇形の大きな筋肉

どこにある?

鎖骨・胸骨・肋軟骨という広い範囲から始まり、脇の下でねじれながら上腕骨の前面へ集まります。胸の正面をおおう最も表層の筋肉で、腕を前に押し出しながら反対の手を当てると硬く盛り上がるのが分かります。上部・中部・下部で線維の走る向きが変わります。

はたらき

腕を体の前へ寄せる水平内転が主な仕事で、押す動作のほぼすべてに関わります。上部は腕を斜め上へ、下部は斜め下へ押す動きが得意なので、ベンチの角度を変えると働く線維も入れ替わります。腕を胸の前へ閉じる動きに対して拮抗するのは、腕を後ろへ開く三角筋後部や菱形筋です。

鍛え方

ベンチプレスを軸に6〜12回×3〜4セットが定番です。ダンベルフライで内側へ絞る動きを足すと、バーベルでは届きにくい可動域の終わりまで刺激できます。肩甲骨を寄せて下げ、胸を張った姿勢を最後まで崩さないのが安全と効きの両立点です。

ストレッチ

壁やドア枠に手をつき、体を反対側へひねると胸の前面が伸びます。20〜30秒を2〜3回が目安です。硬いまま放置すると肩が前に巻き、肩の詰まりや猫背につながります。押す種目を行った日の締めや、デスクワークの合間に入れると習慣になります。

解説動画: 腕立て伏せで大胸筋を鍛える3つのやり方/VALX 山本義徳 筋トレ大学

ベンチプレスとの違い: ベンチプレスは両手両足と背中が着いて姿勢が固定され、バーだけが動く。対して腕立て伏せは手と足しか接しておらず軌道も自由なので、軌道を安定させるためにより多くの筋肉とモーターユニットが動員される。その意味でベンチプレスを超える効果を得られるが、フォームを外すと全く効かない種目でもある。

負荷と弱点: 弱点は下ろす深さが床で制限されることと、負荷を変えにくいこと。腕立て伏せでかかる負荷は体重のおよそ3分の2とされ、体重100kgの人ならベンチプレス66kgほどに相当する計算になる。ただし手の幅、下ろす深さ、肘の張り方によって変わってくる。

基本のフォーム: 大胸筋を狙うなら手幅は肩幅の2倍ほどに広く取る。上腕三頭筋を狙う場合は別。肩からつま先までを結ぶラインが一直線になるよう腰を落とし、2〜3秒かけて顎が着くくらいまで下ろし、上げるときは肘を伸ばし切る。この手幅だと、ただの自重の腕立て伏せでもかなりきつくなる。

手首を守って深く下ろす: 床に手を着くと手首が反って負担がかかり、下まで下ろし切れない。ダンベルやパワーブロック、市販のプッシュアップバーを握って行えば手首が安全な角度になり、より深く下ろせる。同じようにゆっくりしたテンポで下ろしてストレッチをかけ、肘を伸ばして上げると、普通の腕立て伏せでも大胸筋に強い刺激を与えられる。

軍手で滑らせる最強版: 軍手をはめて床を滑らせ、下ろしながら腕を広げてストレッチ、上げながら腕を閉じて収縮させる。ダンベルベンチプレスのような開閉が腕立て伏せで再現できる形で、10回できれば相当な筋力という難度。筋肥大を狙うなら毎セットできるだけの回数を3セット行い、楽になってきたらリュックに重りを入れて背負う。