小胸筋

上半身(前面)

小胸筋は、大胸筋の下で肩甲骨を引く小さな筋

位置

大胸筋の下に深く隠れている小さな筋で、肋骨から肩甲骨の烏口突起へ斜め上に走ります。胸郭の前を斜めに横切って肩甲骨へつながるため、体の表からは大胸筋の厚みに隠れて見えず、触って確かめるのも難しい位置にあります(eugene teo)。烏口突起は肩甲骨の一部なので、この筋が硬く短くなると肩甲骨が前へ引かれ、肩の位置が崩れます(ATHLEAN-X)。

はたらき

肩甲骨を前へ引く筋で、息を深く吸うときには肋骨を持ち上げる補助にも回ります(eugene teo)。痛みのない50人を調べた2005年の研究では、小胸筋が短い群ほど、腕を高く上げても肩甲骨が前に傾いたままになり、低い角度では内向きに回りました(Borstad ほか)。前に傾いた肩甲骨は、肩の詰まり(インピンジメント)の仕組みの候補に挙げられています。

鍛え方

小胸筋は、ディップスや腕立て伏せで押す動作の中で働きます。腕の骨につかない筋なので、肘を伸ばしたまま体を高く押し上げる形がいちばん狙いやすくなります(eugene teo)。バーにいきなり全体重をかけず、床での腕立て伏せから入ってかまいません。慣れたら肘を少し曲げて背中を上へ伸ばす形に進め、息を強く吐きながら締めると締まる感覚がはっきりします。

ストレッチ

ドア枠に前腕を当てて体を前へ送ると小胸筋が伸びます。目安は30〜60秒を2回です(ATHLEAN-X)。2つの方法を比べた樋口らの研究(2016年・高校野球選手34人)では、ドア枠を使う方法のほうが、安静時の小胸筋の長さと肩甲骨の位置をより大きく変える可能性が示唆されました。6週間のストレッチを行ったRosaらの研究では、小胸筋の長さは両群とも有意に変わりませんでした。痛みやしびれがあれば医療者へ相談してください。

出典

  1. 論文・英語 Borstad JD(2005) The effect of long versus short pectoralis minor resting length on scapular kinematics in healthy individuals
  2. 論文・英語 Rosa DP ほか(2017) Effects of a stretching protocol for the pectoralis minor on muscle length, function, and scapular kinematics in individuals with and without shoulder pain
  3. 論文 樋口隆志 ほか(2016) 高校野球選手における小胸筋に対するストレッチ方法の違いが小胸筋長および肩甲骨位置に与える影響
  4. 動画・英語 ATHLEAN-X™ The Best and Worst Stretches For Your Chest
  5. 動画・英語 eugene teo 2 Forgotten Exercises That Blew Up My Chest & Unlocked My Posture

解説動画: 小胸筋をゆるめて肩甲骨を大きく動かす5分ルーティン/のがちゃんねる/nogachannel

概要: 肩の前にある小胸筋を伸ばしながら、肩甲骨まわりの筋肉をしっかり動かしていくトレーニング。一回でも胸の開きを感じられ、続ければ背中はもちろん肩や首、姿勢まで変わると説明している。立ったまま行える動きが連続し、器具は使わない。

動作中に守る姿勢: 背筋は伸ばすが反り腰にはしない。お腹に力を入れて立ち、腰から動かすのではなく背骨を使ってしなやかに動かすのが基本になる。顔は起こして前のめりにならないようにし、腕を上げて胸を張るときは腰に力が入らないよう下腹部を締める。首がすくむと肩に力みが出るので、長い首をキープしたまま行う

動きの流れ: 手のひらを合わせて左右交互に倒すところから始め、両手を顔の横から交互に真上へ伸ばして肩甲骨から大きく動かす。次に曲げた腕をロボットのように動かして腕を後ろに引き、はずみをつけて両手を勢いよく開き二回バウンスさせる。さらにでんでん太鼓のように腕を振り、大きなボールを抱えるように背中を丸めて八の字を描き、最後は背中で両手を組んで肩甲骨を思いきり寄せる。呼吸に無理がなければ吐いて倒し、吸って起こす

取り入れるタイミング: 朝一番や風呂上がり、仕事の休憩時間など続けやすいタイミングで取り入れるとよいとしている。家事や仕事で小胸筋や肩甲骨まわりに疲れが溜まりやすい人は、辛さを感じる手前で入れるようにするとより効果的。ボディメイクだけでなく現代人には必須のトレーニングだと位置づけている。