スナッチ

全身・複合

器具: バーベル / 難易度: 上級

スナッチは、床から頭上まで一動作で挙げる最難関

効く筋肉

大殿筋と大腿四頭筋、脊柱起立筋が引き出しの主役で、受けの姿勢では三角筋前部と僧帽筋が頭上のバーを支えます。肩と胸郭の柔軟性が足りないと形そのものが作れない種目です。

やり方

バーを広めのスナッチグリップで握り、背中を固めて構えます。膝上で股関節を爆発的に伸ばし、そのまま体の下へ潜り込んで頭上で受け止めます。2〜3回を5〜6セット、3分前後休んで質を優先します。ギリシャのデモクリトス大学のチームがエリート男子12人を解析した研究では、バーを持ち上げる仕事量は最初の引きが大きく、平均パワーは膝を越えたあとの2度目の引きが大きかったと報告しています。

フォームの注意点

胸椎や肩が硬いまま重量を扱うと、頭上で腰を反らせて支える形になります。まずは棒で軌道を固めてください。バーが体から離れると前に落ちるので、バーを体の近くを通すことが最重要です。米国のインディアナポリス大学の研究チームが1999年の全米選手権の女子選手10人を解析したところ、水平方向の理想の軌道(寄る→離れる→寄る)を描いた試技は半数に満たなかったと報告しています。

バリエーション・代替種目

指導者がいない環境では、まずクリーンで引き出しを覚えるほうが安全です。分解練習にはハングスナッチやオーバーヘッドスクワット、可動域づくりにはダイナミックストレッチを組み合わせます。We Lift Weights の解説動画は、深くしゃがんで受けるスクワットスナッチと、高く引いて浅く受けるパワースナッチを分け、動きより先に構え・頭上の支え・オーバーヘッドスクワットの姿勢を整えるよう勧めています。

出典

  1. 論文・英語 Gourgoulis V, Aggelousis N, Mavromatis G, Garas A(デモクリトス大学)(2000) Three-dimensional kinematic analysis of the snatch of elite Greek weightlifters
  2. 論文・英語 Hoover DL, Carlson KM, Christensen BK, Zebas CJ(インディアナポリス大学)(2006) Biomechanical analysis of women weightlifters during the snatch
  3. 動画 We Lift Weights パワースナッチ・スナッチ徹底ガイド:パート1 姿勢と柔軟性

解説動画: スナッチ徹底ガイド パート1|姿勢と柔軟性/We Lift Weights

二種類のスナッチと練習の順番: スナッチはバーベルを床から勢いよく頭上まで引き上げる動きで、やり方は主に二種類ある。スクワットスナッチはスクワットの姿勢までしゃがみ込んでバーを受け止めてから立ち上がるのに対し、パワースナッチはバーを高く引き上げ、深くしゃがまない状態で受け止める。動きをマスターする前に、スタート(ファースト)ポジション、オーバーヘッドポジション、オーバーヘッドスクワットの三つの姿勢が取れるようになるのが先だとしている。

手幅の決め方とフックグリップ: スナッチではバーを腸骨と恥骨の間の柔らかい部分に当てる必要があり、骨の部分に当たると激痛なので避ける。そのためクリーンより広く握る。適当な幅で握って立ち、胸を開いて肩甲骨を寄せ、腕を伸ばしたまま姿勢を崩さずに手幅を少しずつ広げていき、バーがちょうどその位置に収まる幅が自分のスナッチグリップになる。握りはフックグリップで、最初は非常に痛いがマメができると慣れる。皮がよく剥ける人はテーピングをするとよい。

スタートポジションと足幅: 肩はバーの真上か少し前に置く。極端に後ろだとスネと膝が邪魔で引けず、極端に前だとバランスを保ちにくい。真上から見てバーは土踏まずと母趾球の間で、スネに触れていなくても常に体に近い位置に置く。背中は腰椎も胸椎の自然なカーブもまっすぐ伸ばし、胸を開いて広背筋に少し力を入れ、腰を必要以上に反らせない。足は広い手幅のぶん開くが、広げすぎると床から引く時に脚の力を使えないので、膝が腕の内側か少し触れる程度に収め、つま先は若干開く。

オーバーヘッドポジション: 頭上でバーを支える姿勢では腕をまっすぐ伸ばし、肩甲骨を上に寄せておく。肘が曲がったり肩甲骨の力が緩むとバーが安定しない。腕で持つというより背中の上部の筋肉全体で支えるイメージで、横から見てバーは首の付け根の上、顔の前ではなく頭の後ろまで持っていく。脇を開きながら頭を腕の間に通す感覚。手首を極端に寝かせると関節に負担がかかる。未経験者にはかなりしんどい姿勢なので、ラックから首の後ろでスナッチ幅に握ってプレスし、肘が伸びきった状態で数秒止める練習から始めるとよい。

オーバーヘッドスクワット: 足幅はスタートポジションより少し広め、一般には肩幅より少し広い程度。狭すぎても広すぎても深くしゃがめないので、自分が最も深くしゃがめる幅を探す。つま先は少し開く。お尻を極端に後ろに引くとバランスを保てずバーを落とすため、骨盤をまっすぐ下に降ろしながら膝を曲げるイメージで沈む。膝とつま先の向きを揃え、常に前を向いて体幹を立てたまま行う。バーを手で持つのではなく押し上げ続けるイメージだと、姿勢が崩れにくい。