最初に知る商品
ファンドのしくみと、1本の中身の見方。
最初の1本は、会社を選ぶ商品より、お金をまとめて運用するファンドから入ると順番が組みやすい。1本の中身が数十から数千の銘柄に分かれるため、1社ずつ調べる手間がいらない。決める順番は3つある。箱のしくみ・中身の合わせ先・1本の中身の確かめ方。
投資信託は、投資家から集めたお金をまとめ、専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、運用で生じた損益はすべて投資家に帰属する。関わる会社は3つに分かれる。販売会社が口座の管理と販売・換金の窓口になり、運用会社が投資先と方法を決めて指図を出し、信託銀行が資産を保管・管理する。法律上は運用会社が委託者、信託銀行が受託者と呼ばれ、信託財産を信託銀行自身の財産と区分して管理する分別管理が義務づけられている。3社のどれが破綻しても、信託財産そのものには影響がない(資産運用業協会)。ただし、資産が保全されていることと元本が保証されていることは別で、ファンドに元本保証は無い。
1口あたりの値段は基準価額と呼ばれ、純資産総額を総口数で割って求める。新聞やインターネットでは1万口あたりで公表されることがほとんどになる。箱の大きさを示す純資産総額は、多ければよいという性質ではない。極端に大きいと、小型株や新興国市場のように流動性の低い市場では売買で価格が大きく動き、運用に制約が生じる。極端に少ないと分散が難しく、売買のコストも相対的に大きくなり、繰上償還の可能性も出る(資産運用業協会)。
中身の合わせ先は2つに分かれる。インデックスファンドは特定の指数と運用の成果を連動させる型で、アクティブファンドは運用会社が独自に銘柄や投資判断を選び、指数を上回る成果を目指す型になる。選んで運用する型は、うまくいかなければ指数を下回り、信託報酬などのコストも高くなりがちだ(資産運用業協会)。指数に連動する型を選んだなら、次に見るのは連動先の指数の名前。同じ市場を指す指数でも、重みの決め方が時価総額加重か株価平均型かで中身の偏り方が変わり、構成銘柄を入れ替える決まりも指数ごとに違う(銘柄入れ替えとリバランス)。
1本の中身は「投資信託説明書(交付目論見書)」で確かめる。良し悪しの見方は型で変わる。指数連動型は、対象の指数の値動きと基準価額の値動きを比べ、差が少ないほど良好とされる。差の大きさはトラッキングエラーで確かめられる。選んで運用する型は、基準価額がベンチマークを上回って推移しているかと、シャープレシオの大きさを確かめる(資産運用業協会)。分配金が高いことは良い印にならない。分配金を払うと純資産総額が減り、基準価額も目減りするため、基準価額の動きと合わせて見る(資産運用業協会)。
やりがちな失敗は、直近で大きく値上がりした1本を良い商品だと受け取ることにある。大きく値上がりした投資対象は、大きく値下がりする可能性も持つ(資産運用業協会)。マーク・カーハートは1997年の論文で、途中で消えたファンドも含む標本を使い、株式の投資信託の良い成績が続くかを調べ、株式のリターンの共通の要因と運用コストでほぼ説明できたと報告した。ゴッテスマンとモレイは2007年の論文で、新興市場に投資するファンドを3つの標本に分け、経費率・回転率・規模・直近の成績・運用担当者の在任期間・評価機関の星の数を比べ、将来の成績を一貫して予測したのは経費率だけだったと報告した。将来の成績は買う前に分からないが、信託報酬は買う前に分かる。
名前が近くても、売買の場所や狙いが違う型がある。ETF(上場投資信託)は証券取引所に上場していて取引時間内はいつでも売買できる一方、市場の需給で狙った価格が成立しないことや、基準価額と市場価格が離れることがある(資産運用業協会)。バランスファンドは複数の資産を1本に混ぜた型、ターゲットイヤー型は目標の年に向けて配分を安全側へ寄せる型になる。毎月分配型ファンドは分配のたびに純資産総額が減る設計で、ファンドラップは運用をまとめて任せる契約の形になる。最初の1本は、しくみが単純で、連動先と費用を自分で読み切れるものから選ぶ。
